事故のアレックス・ザナルディ、専門のリハビリセンターに転院
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ハンドバイク競技中の交通事故によって頭部に重傷を負い、1ヶ月以上に渡って集中治療室で人工呼吸器に繋がれていたアレックス・ザナルディが、専門のリハビリセンターに転院した。
かつてロータスとウィリアムズでF1を戦った53歳の元レーシングドライバーは、6月19日にシエナ近郊で交通事故に巻き込まれ病院に搬送された。これまでに2度に渡る脳神経外科手術と頭蓋顔面再建術を受けているが、神経学的に「非常に深刻」な状態であるとの事で、誘発的な昏睡状態に置かれていた。
シエナのサンタ・マリア・アッレ・スコッテ病院は7月21日(火)、昏睡状態を作り出すために使用していた鎮静剤の量を段階的に減らして投与を終えた事を明らかにし、「心肺機能と代謝パラメータは正常で、神経学的にも安定している」として、ザナルディを専門のリハビリテーション施設に移送したと発表した。
バルテレ・ジョバンニーニ事務局長は「このアスリートは当院で1ヶ月以上を過ごし3件の手術を受けた。彼の臨床状態およびバイタルパラメータが安定的であったため、鎮静剤の投与を停止する事が可能となり、その結果、神経に関わるリハビリテーション施設に転院できる状態である事が確認された。ケアに当たってくれた様々な分野の専門家チームに心から感謝したい」と語った。
詳しい容態や、どの程度の回復が期待できるのか、また回復にはどの位の時間を要するのかなど、詳しい情報は明らかにされていない。伊紙コリエーレ・デラ・セラは、ザナルディの転院先はロンバルディア州レッコ県コスタ・マズナーガの施設だと伝えた。
ザナルディは1991年から1994年、そして1999年にF1世界選手権を戦い、1997年と1998年にはCARTで2度シリーズチャンピオンに輝いたが、2001年のアメリカンメモリアルで大クラッシュに見舞われ、両足切断を余儀なくされた。
だが、強靭な精神力で以て事故から2年も経たないうちにレース活動に復帰すると、今度はハンドサイクリングに転向し、2012年のロンドン・パラリンピックと2016年のリオ・パラリンピックで金メダルを獲得。来年開催予定の東京大会に向けてトレーニングを積んでいた最中に事故に巻き込まれた。