罰金の誘因はヤッパリ”たわみ”「実際に見てやろうと思った」フェルスタッペンがハミルトンのウイングに触った理由
Published:
時速260km以上の高速域で”たわむ”とされるメルセデスW12のウイングを自らのRB16Bと比較してみたいという衝動を抑える事ができなかった(?)がために、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは約650万円相当の罰金処分を受ける事となった。
チャンピオンシップリーダーは初日金曜、インテルラゴスで行われた公式予選でルイス・ハミルトンに次ぐ2番手タイムを記録。パルクフェルメにクルマを停めた後、ライバル車両のリアウイングに触ったために5万ユーロの罰金を科せられた。
スチュワードによるとフェルスタッペンは、予選を終えてクルマを降りた後に自分のマシンのリア側に移動。グローブを脱いでリアウイングのスロットギャップに右手を触れると、次にハミルトンの44号車に近づき、同様の行為を繰り返した。何かを確かめるような素振りだった。
DRS関連の技術規定違反によってハミルトンが予選失格処分となった事で、フェルスタッペンはその後に行われたスプリント予選に繰り上がりの最上位グリッドから臨んだが、ソフトタイヤを履くバルテリ・ボッタスに先行を許し、24周の短距離レースを2位で終えた。
スプリント予選後のFIA会見の中でフェルスタッペンは、ハミルトンのマシンのリアウィングを触っていた理由について聞かれると、”たわみ”を確認するためだったと認めた。
「ウイングを調べていたんだ。映像を見れば僕が何をしていたのかは一目瞭然でしょ。彼らのリアウィングがどれだけ”たわんでいるのか”を見ていたんだ」とフェルスタッペンは答えた。
何か疑念を持っていたのか?と問われると「もちろんさ。色んな議論があったし、まだ調査が必要な事もあるからね。ある速度域になるとウイングがたわんでいるように見えるんだよ」と説明した。
メルセデスからのクレームに基づき、国際自動車連盟(FIA)は技術指令書を発行する事でフレキシブル・ウイングの規制に介入。フランスGP以降、厳格化された荷重・たわみテストが行われる事となった。
これによりフレキシブル・リアウィングを使っていたレッドブル・ホンダやフェラーリ、アルピーヌら複数のチームがリアウィングの再設計及び製造を強いられた。
この問題は表向きは沈静化しているものの、舞台裏では今もトップ2チームが激しい火花を散らしている。
DRS規制違反が発覚する事となった予選の1時間前、レッドブル・ホンダのエイドリアン・ニューウェイとポール・モナハンがFIAの元を訪れ、メルセデスのリアウイングについてクレームを申し立てた。
レッドブルの最新の見解によると、W12のリアウイング・エレメントは時速260kmから後方に折れ曲がるように”たわみ”始めるとの事で、これが夏休み以降のシルバーアローの驚異的なトップスピードの秘密だと言う。
フェルスタッペンはこうした話を聞いていたからこそ、W12のウイングを自ら確認しに行ってしまったのだろう。
「シーズン初めの頃に、”たわむ”って理由でリアウィングを丸ごと交換しなきゃならなかった事があったけど、あそこ(メルセデス)は未だに何かが”たわんでいる”みたいだから、実際に見てやろうと思ったんだ」とフェルスタッペンは付け加えた。
なおスチュワードから罰金を科された事についての意見を問われると、今度は冗談で返した。
「かなりの金額だから、彼ら(FIA)には素敵なディナーとたくさんのワインを楽しんでもらいたいね。高価なワインもいいんじゃないかな」
「もし招待してくれるなら、そのディナーの費用も僕が払うよ(笑」
隣に座っていたバルテリ・ボッタスは思わずボソッと「チームじゃなくて君が(罰金を)払うの?」と質問した。フェルスタッペンは「そうだよ。僕が払わなきゃならないんだ」と答えた。
アンセーフリリースやピットレーンの速度違反など、通常グランプリ・ウィークに科される罰金はチーム宛てとなるが、スチュワードの裁決文にはフェルスタッペン個人に罰金を科すと記されている。