レッドブルがフェラーリに対抗して牽引戦術を採らなかった理由、何故ペレスはフェルスタッペンを援護射撃しなかったのか?
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F1第12戦フランスGP予選はフェラーリのチームプレー勝ちだった。スクーデリアはカルロス・サインツに牽引役を命じ、トウの恩恵を得たシャルル・ルクレールがマックス・フェルスタッペン(レッドブル)にコンマ3秒という大差をつけポールポジションを獲得した。
フェラーリはこの作戦をQ3で2度に渡って展開した。1セット目の計測を終えた時点では、暫定ポールのルクレールと2番手フェルスタッペンとの差は僅か1000分の8秒だった。スリップストリームがなければフェルスタッペンが暫定ポールに立っていた事になる。
レッドブル陣営は何故、最終計測でフェラーリと同じ様な牽引策を講じなかったのだろうか?
レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコ曰く、問題はセルジオ・ペレスと後続とのギャップにあった。
1セット目の計測を終えてペレスは後方に連なるジョージ・ラッセルとルイス・ハミルトンのメルセデス勢にコンマ8秒差の3番手につけていた。一見すると十分なギャップに見える。
ただ、シルバーアローの2台が履いていたのは中古のソフトタイヤで、ペレスは新品だった。メルセデスは最終ラップ用に新品ソフトを温存していた。つまり、仮にペレスが最終アタックでタイムを改善できなければ逆転を許す可能性があった、というわけだ。
対照的にフェラーリは、サインツがエンジン交換ペナルティを受ける事が確定していたため、牽引サポートによって失うものは何もなかった。献身のチームプレーは劣勢に追い込まれたが故に可能となったストラテジーだったと言える。