キャデラックF1の2026年最適解、コルトン・ハータ以外のドライバー候補は誰か?
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アンドレッティ・グローバルを基盤とし、2026年シーズンよりF1に参戦するキャデラックは、レギュラードライバーの一人としてコルトン・ハータを検討している。では、もう一つのシートの最有力候補は誰なのか。
アンドレッティは当初から、9度のインディカー優勝経験を持つハータを候補に挙げていたが、キャデラックという”ガワ”を被っても、その方針は変わらない。
キャデラックF1チームの取締役に就任したマリオ・アンドレッティは、NBCとのインタビューの中で「ハータのようなアメリカ人ドライバーを優先的に探すのか」との質問に対し、「現時点ではイエスだ。候補として名前が上がったが、彼は間違いなく検討対象の一人だ」と述べた。
マイケル・アンドレッティに代わってCEOに着任したダン・トウリスもまた、ハータを非常に高く評価していると報じられているが、ハータにはF1での経験がない。新規参入チームにとって、F1の知識と経験を持つベテランドライバーの存在は不可欠だ。
過去には、2016年に参戦したハースがロマン・グロージャンの豊富な経験を活かし、シーズン序盤でポイントを獲得した例がある。
キャデラックも同様に、少なくとも一人は、チームをリードし、即戦力となるベテランドライバーを起用する可能性が高いと言える。
実際、アンドレッティは「国籍を問わず経験豊富なドライバー1人と、若き才能を持つアメリカ人を確保することが最初の課題であり、それが現在の目標だ」と語った。
ベテランドライバーの候補として考えられるのは、現在ザウバーに所属するバルテリ・ボッタスだ。新生キャデラックにとってボッタスは申し分ない選択肢と言える。
ザウバーは2025年に向けてボッタスを解雇し、FIA-F2選手権ポイントリーダーのガブリエル・ボルトレートを起用する決定を下したが、これはボッタスの能力に対する評価を否定するものではなく、チーム方針によるものだ。
アンドレアス・ザイドル体制下のザウバーは、7つのチームで210戦以上を戦ってきたベテランのニコ・ヒュルケンベルグと3年契約を締結した。そのためザイドルの後任であるマッティア・ビノットは、ベテランを二人揃えるのではなく、もう一つのシートを若手に与えることを決め、その結果としてボルトレートを選んだ。
今年8月に35歳の誕生日を迎えたボッタスは、2024年シーズンもチームメイトの周冠宇を総合的に上回り、時には競争力に欠けるC44をQ1突破に導くなど、衰えた様子は見られない。
ベテランドライバーとしてはケビン・マグヌッセンやダニエル・リカルドも候補に挙げられるが、いずれも一貫性の欠如が懸念され、ボッタスの方がキャリアを通じて安定したパフォーマンスを見せている。
ボッタスにはリザーブドライバーとして古巣メルセデスに復帰する選択肢もあるようだが、リザーブとしての活動がF1復帰に直結する例は稀だ。例えばミック・シューマッハはここ2シーズンに渡ってメルセデスのリザーブドライバーを務めているが、レースシートを得るには至っていない。
キャデラックとしては、正式参戦する2026年ではなく、1年前の2025年からボッタスを起用することで、参戦に向けた準備の段階から、全盛期のメルセデスを含めて3つのチームを経験してきたボッタスの豊富な経験を活かすことが可能だ。
新規参入チームがキャリア全盛期にある通算10勝のベテランドライバーを活用できる機会などそうそうあるものではない。
ボッタスはF1でのキャリア続行を望んでいるため、たとえ競争力が期待できない新興チームであったとしも、新たな参戦という通常では経験できない挑戦に意欲を示す可能性は十分にあるのではないだろうか。キャデラックにとって、ボッタスは理想的なパートナーとなるかもしれない。