低速はもはや弱点に非ず…フェラーリはメルセデスに対し、どこでゲインしていたのか?
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スクーデリア・フェラーリは一体どこでタイムをゲインしていたのだろうか? マリーナベイ市街地コースでの予選を終えたレッドブル・ホンダやメルセデスのドライバー達は口を揃えて「何故フェラーリが速かったのか分からない」と戸惑いを見せた。
F1シンガポールGPの戦いの舞台は、23ものコーナーを持ち、その大部分が90度コーナーで、前戦モンツァ・サーキットと比べて平均速度が100km/h近くも低い。エンジン性能がラップタイムに与える影響が小さいため、車体に定評のあるレッドブルが伝統的に強さを示してきたが、今年の主役は、そんな低速を大の苦手としていたフェラーリだった。
フェラーリが速かったのではなく、単にメルセデスとレッドブル・ホンダが遅かっただけ、という可能性もあるが、メルセデスのアンドリュー・ショブリンは「フェラーリの速さは予想外だ。その一方で、レッドブルは我々が予想していた程速くはなかった」と語り、フェルスタッペンも「初日は問題なかったが、今日はグリップがなくペースが不足していた」と述べている。
つまり、レッドブルは何らかの理由で本来の速さを発揮できていなかった可能性があるが、メルセデスに関しては必ずしもそうではなさそうだ。やはり、フェラーリだけが唐突に速かった、と考えるのが妥当だろう。
一つのシーンのみを切り取ってモノゴトを語るのは危険だが、それを差し引いてもシンガポールGP予選でポールポジションを獲得したシャルル・ルクレールと、2番手に甘んじたルイス・ハミルトンのオンボード映像比較は示唆に富んでいる。
1周を通してのエネルギー配分が違うという事実はあれど、ルクレールは概ね中速コーナー、中速コーナーからの立ち上がり、そしてストレートでゲインしている事が分かる。ただ、 鋭角のターン13やターン8でもタイムを伸ばしており、オンボード比較を見る限りにおいては、シーズン前半に低速に苦戦していた跳馬は、今や存在していないように見受けられる。
下馬評を覆した大きな要因は、マラネロが今週末持ち込んだ新しいアップグレード・パッケージだ。SF90には新型のフロア、ディフューザー、リアウィング、そしてダウンフォースを強化するだけでなく、クルマ全体のエアフロー改善を目的とした新しいノーズ&フロントウイングが搭載されていた。