苦境打破に向け習慣変えるベテラン…トラックウォークを再開したアロンソとシミュレーター作業に取り組むハミルトン

アルピーヌのフェルナンド・アロンソとメルセデスのルイス・ハミルトン、2021年7月1日F1オーストリアGPCourtesy Of Daimler AG / Alpine Racing

成功体験を持つがゆえにベテランほど習慣を変える事は稀だが、厳しい状況を打破するため、またそうなる事を祈り、あるいは迷信的にフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)は各々新しい事に取り組み始めた。

レッドブルリンクでの第2レースとなるF1第9戦オーストリアGPを前に2度のF1ワールドチャンピオンは、5月のポルトガルGPの前にアルガルベ・サーキットで久しぶりにトラックウォークを行った事を認めた。

アロンソは長年に渡って行ってこなかったトラックウォークをポルティマオで実施した理由について、コースを一度も走行した事がなかったためだと説明したが、2度の入賞記録を持つアゼルバイジャンGP以降も同じ様に週末を前にしてコースの下見を行った。何故か? それは迷信にあやかろうという思いからだった。

木曜FIA会見の中でアロンソは「ポルティマオは僕にとって新しいサーキットだったから1回やってみたんだけど、結果的に競争力もありレースではポイントも獲れてね。でもトラックウォークを止めたバルセロナとモナコではポイントが取れず、バクーでもう一度やってみようと思ったんだ」と説明した。

「それ以来、サーキットでのウォーキングを続けた結果、日曜日にポイントが穫れるようになったもんだから、まぁ迷信みたいなものだね」

ハミルトンは1年に20周程度しか走る事がないとする程のシミュレーター嫌いで知られるが、レッドブル・ホンダがパフォーマンスを向上させた事で態度を変えたようだ。

前戦シュタイアーマルクGPで為す術なくフェルスタッペンに敗れ去ったメルセデスはV6ハイブリッド時代初の4戦連続未勝利という不名誉な記録を作る事となり、ドライバーズランキングにおけるハミルトンとフェルスタッペンとのポイント差は18点にまで拡大した。

メルセデスの最高技術責任者(CTO)を務めるジェームズ・アリソンが第9戦オーストリアGPに先立って「シミュレーターで精力的に周回をこなしていた」と明かしたように、ハミルトンもまたこれまでの習慣を変えている。

F1公式サイトによるとオーストリアGPを前にハミルトンは「まあ、必ずしも楽しんだとは言えないね」とした上で「ただ、特に前回のレースが厳しいものであっただけに、準備という点でチームに貢献するために何か自分にできる事はないかって考えていたんだ」と説明した。

「その結果、幾つか良い材料を得る事ができたと思うけど、人生を変える程のものじゃない。でも今後もアンソニー(メルセデスのシミュレータードライバーを務めるデビッドソン)と共に仕事に取り組むつもりだし、他にも(シミュレーターで)作業に取り組んでくれているドライバーもいるし、全体的にはポジティブだと思う」

「この4レースで彼ら(レッドブル・ホンダ)は素晴らしい仕事をした。バクーでもフランスでも、先週末もそうだった。彼らは僕らの一歩先を行っているから、その差を縮めることができないかと思ってできる限りの努力をしているところだ」

「まだシーズンの半分も終わっていないし、引き続き世界タイトルを目指して戦い抜くよ」

得てして人は追い込まれない限り習慣を変えない生き物だが、仮に追い詰められたとしても自己変革など中々できるものではない。成功体験を有すれば尚の事だが、複数回に渡って世界の頂点を掴み取った2人のワールドチャンピオンはそうではないようだ。

F1オーストリアGP特集

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