F1初優勝を振り返るフェルスタッペン、走馬灯のように頭をよぎった苦労の数々「思わず僕も父も泣きそうだった」
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次戦スペインGPはレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンにとって、F1初優勝を果たした特別な場所だ。それも移籍後直後の最初のレースで。
トロロッソでの1シーズン目を終えて挑んだ2年目、フェルスタッペンは2016年第4戦ロシアGP後にダニール・クビアトに代わってレッドブルのシートを射止めた。デビュー24戦目の事だった。
初めてのチームと臨んだ第5戦スペインGPで予選4番手を獲得したフェルスタッペンは、メルセデスの同士討ちによって首位に浮上すると、猛追するキミ・ライコネン(フェラーリ)を僅か0.616秒差で退けてトップチェッカーを受け、F1史上最年少優勝記録を18歳227日に塗り替えた。
パルクフェルメではセバスチャン・ベッテルやフェルナンド・アロンソら歴代王者からの祝福を受け、表彰台の上ではお騒ぎだったフェルスタッペンだが、実際には感情が溢れて思わず泣きそうだったのだという。
5月7日に開幕を迎えるスペインGPに先立ちフェルスタッペンは、当時の事を次のように振り返った。
「バルセロナは僕にとって特別な思い出の場所なんだ。F1での初優勝は本当に感動的だった」
「特に、このチームでのデビュー戦だったから、チームのみんなにとってもちょっとした衝撃だった。僕はあまり感情的なタイプじゃないけど、あの日は涙がこぼれそうになったし父もそうだった」
「F1に辿り着くまでの道のりや何かがべてが頭の中を駆け巡ったよ。勝っている時は簡単そうに見えるだろうけど、そこに辿り着くまでには大変な努力が必要なんだ」
「他の若いドライバー達と同じように、僕も実家を離れて多くの時間を過ごし、ヨーロッパ中をドライブしてできる限りの努力を重ねてきた」
「父の大きな支えがあった事は勿論だけど、F1に出られるという保証はなかった。でも家族としては常にそれが目標だった」
「優勝した後、突然、すべてが頭の中をよぎったんだ。そしてそれは最高の1日になった」
「何度も言ってきた事だけど、僕の初優勝は誰も予想していなかったショッキングな出来事だったから、今後も決して忘れる事はない。あんな若い僕と共に戦い続けてくれた全ての人達に心から感謝している」
フェルスタッペンがカートを始めたのは4歳半の時だった。当時フェルスタッペンは、友達がカートに乗っているのを見て自身もやりたいと駄々をこねたものの、父のヨスはこれを突っぱねた。それでも涙を流しながら懇願し続けた事で最終的に母が折れた。最初はレンタルカートだった。
ヨスはかつてレッドブルとのインタビューの中で「数周も走ると、あいつはコース全体を全開で走行したんだ。結局レンタルは1日だけで、すぐに大きなカートを買ってやったさ」と明かしている。
フェルスタッペンは9歳の時にベルギーとオランダでチャンピオンを獲得すると、13歳で国内レースを離れて舞台を世界へと移し、その初年度にいきなりWSKユーロシリーズとWSKワールドシリーズを制覇。そして16歳でレーシングカートの最高峰、KZクラスで世界チャンピオンとヨーロッパチャンピオンに輝いた。
ヨスはマックスが学校に行っている間は作業場でカートの整備に取り組み、週末になるとオランダとベルギーを中心にヨーロッパ各国を自らの運転で駆け巡り、息子のレースに付き添った。F1での現役生活に別れを告げた後、ヨスは自身より優れたレーシングドライバーに…との想いから、人生の多くを息子マックスに投じた。