フェルスタッペン、マルコやホーナーのレッドブルF1離脱を容認しないスタンス…権力闘争疑惑を受け
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チーム代表のクリスチャン・ホーナーもコンサルタントのヘルムート・マルコも、双方共にチームに「留まるべき」だとしてマックス・フェルスタッペンは、レッドブルの組織構造が変わる事を容認しないスタンスを明確にした。
2022年と2023年のF1世界選手権で2年連続のダブルチャンピオンに輝いたレッドブルは上層部での権力闘争が囁かれている。誰がどのような形でどの程度関与しているのかは不透明な部分が多いが、マルコは大なり小なり覇権争いがある事を事実上認めている。
ホーナーは2005年のチーム設立以来、チーム代表兼CEOとしてミルトンキーンズのチームを監督している。ただ重要な意思決定に関与し、より大きな影響力を行使してきたのはホーナーではなく、レッドブルの共同創業者であるディートリッヒ・マテシッツとレッドブル・レーシングとの橋渡し的な役割を務めてきたマルコの方だった。
それが遡ること1年前にマテシッツが亡くなって以来、オーストリアを本拠とする世界的エナジードリンク企業のスポーツ活動に関してはオリバー・ミンツラフが指揮を採るようになり、これによりパワーゲームが生じ得る土壌が生まれた。
こうした事情を背景に、様々な面での意見の相違からホーナーがマルコのチーム離脱を望んでいるとの報道が飛び交ったわけだが、フェルスタッペンはホーナーとマルコのいずれもがチームに「留まるべき」だと主張し、現在のトップ人事が変わる事を容認しないスタンスを明らかにした。
英「Sky Sports」とのインタビューの中で、ホーナーかマルコのどちらかがレッドブルを去った場合、レッドブルにおける自身の将来に影響を与えるかと問われたフェルスタッペンは「彼らが辞めないのはそれが理由だ」と答えた。
ミンツラフがレッドブルのCEOの一人に任命された事で意思決定に関わる構造に変化があった事は確かだが、フェルスタッペンは「誰もがこれまでと同じ役割を果たしている」として、マルコやホーナーに関する去就について議論された事は「一度もない」と主張した。
「自分自身が上手くやれていてチームも絶好調な時は、チームの成功の鍵を握る重要なメンバーを維持する事が凄く重要だ。誰もがその事を分かっている」
「僕らの側からすれば、その点は以前からずっとハッキリしている。どうしてチームの外にいる人たちが疑おうとするのか僕には分からない。僕らにしてみれば、留まるべきだというのは明白な事なんだ」
ドイツの複数メディアに加えてフェルスタッペンに近い情報筋も、3度のF1ワールドチャンピオンが既存の組織構造を維持するようレッドブルの株主に要求したと伝えている。
噂では、マルコの解任阻止に向けて前戦カタールGPの週末にドーハ入りしていたレッドブルの51%株を持つチャルーム・ユーウィッタヤー(共同創業者チャリアオの息子)と話し合ったとされ、マルコが解任されれば自身もチームを離れるとの意向を伝えたとも報じられている。
フェルスタッペンに対して面と向かって権力闘争の有無を聞いても、現実がどうであるかとは無関係に、これを肯定する発言は期待できないわけだが、実際、F1アメリカGPの開幕に先立ち行われた会見でそのように問われたフェルスタッペンは「デタラメ」だと退けた。
結局のところ「権力闘争」と呼ばれている一連の騒動が首脳陣の離脱に繋がる可能性は殆どないと言って良いだろう。
仮にホーナーがマルコを追いやろうとしているとの憶測が本当であったとしても、フェルスタッペンを敵に回せばチーム崩壊の危機とまでは言わないまでも、破滅的な結末を迎える事くらいホーナーは十分に承知しているはずだ。
ホーナーとの関係についてマルコは金曜のCOTAで独「Sky Sports」のインタビューに応じ、「我々は27年来の付き合いだ。クリスチャンはオペレーションを、そして私は戦略を担当している。この役割分担はこれまで上手く機能してきたし、今後も上手くいく事が分かるだろう」と述べ、楽観的な見方を示した。