角田裕毅、レッドブルF1昇格見送りの”兆候”を察知—決定を冷静に受け止めた背景

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セルジオ・ペレスの後任としての2025年レッドブル・レーシング昇格を逃したことについて角田裕毅は、最終決定が発表される前から既にある程度は心の準備ができていたと明かした。
成績不振に伴い、ペレスの去就が不透明となる中、角田はリアム・ローソンと共に昇格候補に挙げられていた。角田は2024年シーズンを通してチームメイトを上回るパフォーマンスを発揮してきたが、レッドブルが選んだのはキャリアわずか6戦のローソンだった。
角田はこの結果を冷静に受け止めた。事前にレッドブルの決定をある程度予測し、精神的に備えていたことで、決定が下された際も動揺することなく気持ちを切り替えられたという。
英Motorsport Weekとのインタビューの中で角田は次のように述べ、チーム首脳陣の態度やパドックで流れる噂の数々から、昇格が見送られる可能性をある程度、覚悟していたと明かした。
「最終戦の数レース前から、すでに(ローソンが有利という)噂が飛び交っていましたし、クリスチャン(チーム代表のホーナー)やレッドブルの関係者の振る舞いを見ても、僕にとってあまり好ましい方向には進んでいないと感じていました」
「なので、ある程度は覚悟していました。もし聞きたくない知らせが届いても、気持ちを切り替えられるように、心の準備を整えていました」
また、自制心の向上も冷静さを保つ要因になったと説明した。
「昨年から感情のコントロールにかなり力を入れてきました。特に開幕戦のバーレーンGPでは、自分の中で大きな変化があり、そこから懸命に努力しました」
「シーズンを通して成長できたと感じています。レース中に叫ぶこともほとんどなく、せいぜい1、2回程度だったと思います」
「それが今回の決定に対しても落ち着いていられた理由の一つです」
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表(F1ラスベガスGP)とRBフォーミュラ1の角田裕毅(F1カタールGP)、2024年
レッドブル昇格を逃したとはいえ、2025年シーズンに臨む角田の熱意や決意に変わりはない。今季は明確なリードドライバーとして、新人アイザック・ハジャーをサポートしながらチームの競争力向上に貢献することが求められている。
「モチベーションは去年とあまり変わりません。レッドブルのことは頭から完全に切り離していて、今はあまり考えていません」と角田は語る。
「僕の目標は、開幕戦までにチームをできるだけ良い状態に仕上げ、昨年の前半戦のような強さを維持し、コンストラクターズランキング6位を目指すことです」
「また、ドライバーとして“特別なリーダー”になれるよう成長したいと思っています。自分自身の改善はもちろん、チームに対しても適切なフィードバックや方向性を示せるリーダーであることを証明したいと考えています」
2025年シーズンが角田にとってF1キャリアのターニングポイントになることは疑いない。これまで彼を支援してきたホンダとレッドブルの双方が、角田が自らの道を進むべき時が来たと認めている。
一方で、角田は「前シーズンから本当に良い成績を残しているチームやトップチーム」への移籍に対する願望を認めつつも、「このチームが本当に良い成績を残せるなら、それが一番嬉しいです」と語り、レーシング・ブルズ残留も視野に入れていると示唆した。
ただし、2026年もチームに残るためには、パフォーマンスだけでなくリーダーシップを発揮し、チームに必要な存在であることを証明する必要があると強調した。
「来年も僕にいてほしいとチームに思ってもらうためには、パフォーマンスだけでなく、リーダーシップを発揮することが求められます」と角田は語る。
「それを証明することが、今シーズンの僕にとって重要なことだと思います」
角田裕毅の顔写真がプリントされたTシャツを着るレーシング・ブルズのアイザック・ハジャーと、それを目にする角田裕毅、2025年2月3日(月) 英国ロンドン
ただ実際のところ、角田が2026年以降もレーシング・ブルズに残れるかどうかは、本人の成績以上に、ハジャーやFIA-F2に参戦するレッドブル・ジュニアのアーヴィッド・リンブラッドの成長次第と言えるだろう。