不正の温床に? 角田裕毅、レッドブルリンクの「完璧」なトラリミ対策に対する”3つの懸念”を提起
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F1レースディレクターのニールス・ヴィティヒが「完璧」と評したレッドブル・リンクのトラックリミット対策だが、角田裕毅(RBフォーミュラ1)は3つの懸念を提起した。
「1,200件以上」もの疑わしきケースの調査を強いられ、チェッカー後に計84件ものラップタイムが抹消された昨年大会を踏まえ、国際自動車連盟(FIA)は2024年大会に向けて最終2コーナーの外側にグラベルトラップを敷設した。
既存の縁石をそのままにしつつも、白線とグラベル間の距離を現行マシンの車幅より狭い1.5mに設定するという巧妙なアプローチにより、走路の端を示す白線を越えたクルマのホイールは確実にグラベルに落ちることになる。
ヴィティヒは今回の対策を「完璧なセットアップ」と評したが、角田裕毅はコースとグラベル間の距離が近いが故に発生し得る問題点を指摘した。
「上手く対処したと思いますが、モンツァの第2シケインのようにならないといいなと思います。あそこは砂利がコース側に上に飛び出してしまい、パンクのリスクが高まるんです」と角田裕毅は語る。
「あとはグラベルがフロアにダメージを与える可能性もあります。モンツァとここでは速度が大きく異なるため、そうはならないかもしれませんが、もしそうなった場合、避けるのはかなり難しいと思います」
角田裕毅はさらに、百分の数秒、千分の数秒を争う予選において、これが深刻な問題に発展する可能性を指摘した。
「特に予選では、誰かがグラベルに飛び出して砂利がコースに入ってきた場合、間違いなく次のコーナー、つまり高速の最終コーナーに影響が及ぶことになりますが、そこではリアのグリップが重要です」と角田裕毅は語った。
意図的にこの状況を利用するドライバーが現れないとも限らない。予選Q3で暫定ポールタイムを刻んだ後、故意にターン9でグラベルにホイールを落とし、最終コーナー手前に砂利を飛び散らせておけば、後続のドライバーを妨害することも可能だろう。
意図せずともレッドブル・リンクでは、コース内に留まろうとしてもアウト側に膨らんでしまう罠が存在する。
「ここでは1周を通してフロントタイヤがオーバーヒートする傾向があって、それによってアンダーステアになってしまうのがちょっとした問題なんだ」とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は指摘する。
「それによってコーナーに進入する段階で既にアウト側に膨らんでしまい、結果としてコーナーから抜ける際に数ミリメートルずれてトラックリミットになってしまうことがあるんだよ」