偏見・先入観…社会貢献活動に勤しむベッテル、少年刑務所の若き受刑者からの直球質問に語りかける
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アストンマーチンF1チームのセバスチャン・ベッテルは第5戦マイアミGPを終えて英国ロンドンに飛び、フェルサム少年刑務所を訪問。自身のキャリアについて語り、受刑者からの質問に答えた。
同少年刑務所では若い受刑者が出所後に仕事に就けるようにと、自動車のメンテナンスと修理の訓練を行う場としてワークショップをオープンさせた。ベッテルはそのテープカットを行った。
再犯防止のためには出所者の円滑な社会復帰が不可欠であり、イギリスのみならず日本においても、受刑者が出所後に定職に就けるよう、建設機械の免許を含む各種資格の取得やパソコンスキルなど、様々な職業訓練を実施している。
モータースポーツのキャリアを本格的に歩み始める前に大学で機械工学を学ぼうと考えた事もあるベッテルは、現役引退後のメカニックへの転向を仄めかすなど、クルマの技術的な側面に強い関心を持つドライバーとして知られている。
「好奇心を持って何事にもオープンになる事が大切だと思う」 とベッテルはアドバイスした。
「素材や製造方法、デザイン、分解、組立など、クルマには興味を引く要素がたくさんあると思うんだ」
名前を伏せたある若い犯罪者から、最高峰であるF1では犯罪歴があっても仕事に就けるのか?との質問が飛んだ。ベッテルは犯罪歴に対する「偏見」によって仕事の機会が奪われる事はあってはならないと返した。
「なぜ(犯罪歴があると)ダメなのか僕には分からない。世の中には確かに偏見が存在しているけど、世界は良い方向に変わってきている」
「十分な実力があればそれで良い。僕はそういう物事を目にしてきた。偏見が(夢を)妨げる事はあってはならないと思う」
23歳で初の世界タイトルを獲得した34歳のドイツ人ドライバーは「若い人たち、特に困難な状況にある人たちにセカンドチャンスを与えることは本当に重要な事だと思う」と指摘し、将来ある犯罪者たちに「一生懸命働けば夢を叶えることができる」と語りかけた。
「誰もが生まれた時から同じようなチャンスに恵まれるわけじゃない。だからこそ、そうでない人たちのために、できる限りそのチャンスを与えて助けてあげることが重要なんだ」
「刑務所にいる人たちはどんな人たちなのか、彼らが何をしたのか、どんな罪を犯したのかって事に先入観を持ちがちだけど、彼らもまた人間であることを忘れちゃいけないと思う」
「彼らには彼らなりのストーリーがあり、何が彼らを人生の過ちへと駆り立てたのかは分からないんだから」
その後ベッテルは通勤者たちに混じってウォータールー行きの列車に乗り込み、貧困問題を抱える若者支援に取り組むオアシス・ヨハンナ小学校の子どもたちに会い、BBCの政治討論番組「Question Time」に出演した。