ピエール・ガスリー、トロロッソへの降格の”裏”を語る「信じていたのに…話が違った」

スパ・フランコルシャンのパドックを歩くトロロッソ・ホンダのピエール・ガスリー、2019年F1ベルギーGPにてcopyright Red Bull Content Pool

2019年のサマーブレイクの最大の話題が、ピエール・ガスリーの降格とアレックス・アルボンの昇格発表であることに異論を唱える者はいないだろう。チーム首脳陣はこぞってガスリーの年末までの続投を表明しながら、ハンガリーGPが終わると、ガスリーに対して古巣への出戻りを命じた。

あまりの衝撃の大きさ故に、ガスリーはレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコからの運命の電話が鳴った時刻を正確に覚えていた。そして、”聞かされていた話”とは異なる決断に、戸惑いとショックを受けた事を明かした。

「あれは8時42分だった。ブダペスト前(ハンガリーGP前)に聞かされていた話とは違ったから、当然ショックを受けたよ」とピエール・ガスリー。交代のプレスリリースがメディアに送付される数時間前の出来事であった。

「チームからは、僕がシーズン末までレッドブルでドライブするって聞かされていた。僕はその言葉を信じていた」

寝耳に水とはまさにこの事だろう。ガスリーが混乱するのも無理はない。彼は自身が何故降格処分を受け、何故アルボンが自身の代わりにレッドブル・ホンダで走るのかについて、具体的な説明を受けていないのだという。

「チームの目標は後半戦でフェラーリを打ち破って、コンストラクターズチャンピオンシップで彼らを上回ることだけど、僕が(降格の理由を)理解しているかどうかに関わらず、僕としては自分のアプローチを変更するつもりはないし、考えるだけの時間もあまりなかった」

「僕が集中すべきは、トロロッソと共に残された9つのレースで最高のパフォーマンスを発揮することだけだ。今はこれにフォーカスしている」

チームメイトのマックス・フェルスタッペンは、2度の優勝を飾り181ポイントを獲得。ドライバーズランキングで2位につけているものの、ガスリーは序盤12戦で僅か63ポイント止まり。予選成績では、事実上全敗している。

「(降格に影響を与えた要因は)色々あると思うけど、それはチーム内での話に留めるべきだと思うし、今議論すべき内容じゃない」とピエール・ガスリー。

「確かに、シーズンの前半でもっと上手くやれた部分はあったと思ってる。僕にも部分的に責任があるけど、僕としては、パフォーマンス不足とポイントに対する責任は僕ら全員にあったと思ってる」

非情とも言える人事異動の理由の一つは、ガスリーがマネジメントの期待に沿うだけの成績を挙げられなかった点にあることは疑いないが、ガスリーはもう少し時間の猶予があれば、状況は全く異なっていたと信じている。

「依然として幾つか解決すべき問題が残っているけど、全体としては概ね正しい方向に進んでいると思う。もっと良い結果もあり得たとは思うけど、今さらそれについて議論する必要はないし、もう既に終わった事だから、その件についてはあまり話したくない」

「今後のレースに向けて役立つであろう良い学びもあったけど、今の僕に必要なのは、状況を変える事と、更なる速さを手に入れる事の2つだ。自分の競争力には自信を持っているし、ベストを尽くして最良の結果を持ち帰りたい」

来季残留に向けての状況が厳しい事に変わりはないが、レッドブルへの扉が完全に閉ざされたわけではない。チームは交代の理由として、2020年のレッドブル・ホンダのラインナップを検討するために「フェルスタッペンに対するアルボンのパフォーマンスを評価したいだけだ」と主張している。

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