トロロッソ・ホンダ、見据えるのはソチではなく鈴鹿…新型エンジンの性能向上を確信 / F1ロシアGP《予選》サマリー

カラフルなソチ・オートドロームの縁石と、鮮やかな青を纏うトロロッソ・ホンダSTR13copyright Red Bull Content Pool

第16戦ロシアGPは29日(土)、公式予選が開催される2日目を迎えた。レッドブル・トロロッソ・ホンダはスペック3エンジンのセッティングに関してさらなる調整が必要と判断。最終プラクティスに向けて、前戦まで使用していた旧型スペックのエンジンに再度交換を行った。

使い古した旧型エンジンで臨んだFP3。2台のSTR13は共にハイパーソフトタイヤを履き、アタックシミュレーションやロングランなど、予定していたプラグラムを進め、多くの周回をこなした。21周を走り込んだピエール・ガスリーは1分35秒125で12番手。22周を走行したブレンドン・ハートレーは1分36秒033のベストを刻み、16番手タイムで最後のプラクティスを終了した。

午後15時。曇り空が広がる中、18分間の予選Q1は気温23度、路面温度31度のコンディションでスタートした。ガスリーは1セット目のタイヤで34秒383、ハートレーは35秒037と共にベストタイムを更新。Q1終盤、2セット目のアタックに出た2人であったが、ともに1セット目のタイムを上回ることはできず、ガスリーは13番手でQ1突破。ハートレーは16番手でQ1敗退を喫した。


© Getty Images / Red Bull Content Pool

パワーユニット交換によるグリッドダウンのペナルティにより、トロロッソ・ホンダ勢は後方からのスタートが確定。そのため、Q2に進出したガスリーはタイム計測を行わずにガレージで待機。結局、レッドブルとルノー・スポールを含めた計5台が走行を見送りセッションが終了したため、ガスリーはQ1と同じ13番手となった。

スクーデリア・トロロッソのパフォーマンスエンジニアを務めるギヨーム・デゾテウスはグランプリ2日目を振り返り、スペック2エンジンへのロールバックによって直線区間での競争力が落ちたと述べ、最新版スペック3の実戦投入先送りによって戦力が低下した事を認めた。

旧型に戻した結果として戦力がダウンしたという事はすなわち、ホンダが開発した最新鋭スペック3エンジンが着実に性能向上を果たしているという事を示している。トロロッソは予期せぬ形で後退を強いられる事になったものの、デゾテウスは最新スペックエンジンの実戦投入を見送ったホンダ側の決断を全面的に支持。見据えているのはソチでのレースではなく、次週に控える鈴鹿でのF1日本GPだ。


© Getty Images / Red Bull Content Pool

予選を終えたガスリーは、新型PU投入以降、マシンは目を見張るレベルの改善を果たしていると主張。パワーユニットとシャシーの双方の性能が大きく向上しているとの認識を示し、決勝への期待感を覗かせる。この点についてはハートレーも同意。「新型パワーユニットの性能が向上している事に疑問の余地はない」と強調する。

今回は多くのマシンがパワーユニット交換とギアボックス交換によってグリッド降格処分が下されるため、公式スターティンググリッドについてはFIA国際自動車連盟からのアナウンスを待つ形となるが、トロロッソ・ホンダ勢は少なくともレッドブルの2台より前のポジションからのスタートとなる見通しだ。

トロロッソ・ホンダ:F1ロシアGP予選を終えて

ピエール・ガスリー予選: 12位, FP3: 13位

昨日新しいエンジンを導入して以降、僕らは目を見張る改善ぶりを示していて、かなりポジティブな流れを掴んでる。でも、シーズン最終戦までのレースを見据えてマイレージをセーブするために、週末の残りは古いエンジンに戻すことにしたんだ。

マシンの感触には心から満足してる。今週末はマシンが良く仕上がってるから、エンジンペナルティで後方からスタートしなきゃならないのが本当に残念だよ。昨年のレースを見る限りここではオーバーテイクをするのが本当に難しそうだけど、シャシーは調子良いし僕はまだ自信を持ってる。

明日はタイヤのデグラデーション=性能劣化がレースの鍵を握る事になるだろうから、戦略面で上手くやれればと思ってる。レースがどういう結果になるかなんて誰にも分からないんだから、僕は全力でプッシュするつもりだし、上手く行けば、願ってもないようなリザルトを賭けて戦えるかもしれないよ!

ブレンドン・ハートレー予選: 16位, FP3: 16位

明日はペナルティを受ける事になるから、特にこれと言って話すようなことはないんだけどね。昨日はホンダが持ち込んだ新しいパワーユニットの慣らし走行をしたわけだけど、残念な事に残りのセッションでは使わない事が決定したんだ。新しいエンジンは明らかに速さを増してるし、その点については疑問の余地がないよ。日本GPでは全てが期待通りに機能する完璧な状態になる事を願ってるよ。

新しいエンジンが使えない事に加えて、僕らは決勝を後方からスタートする事になるから、日曜は厳しいレースになるだろうね。昨日のソフトタイヤを履いたロングランでのペースはかなり期待の持てるものだったから、明日に向けてはまだ何かやれる事があるはずだ。過去のレースでは何度かインシデントが発生しているし、スタートラインから始まるロングストレートを抜けた先の最初のコーナーは幅が狭いからトリッキーなんだよね。

そんなわけで明日は何が起きても不思議じゃないから、ベストを尽くしてレースに挑むつもりだ。

田辺 豊治ホンダF1現場責任者

昨日のFP1とFP2の走行を通して、新スペックのパワーユニットのパフォーマンスについて良い手応えを得ることができました。一方で、実戦投入に向けてはPUのマッピングや車体とのマッチングなど、まだいくつか調整を必要とする部分を確認したため、今日と明日のセッションには使用せず、前戦までのスペックに戻す決定をしました。次戦の鈴鹿までには十分な煮詰めを行い、新スペックのPUとともに臨みたいと思っています。

パワーユニットの載せ替え作業が続いた事もあり、今週末はトロロッソ・ホンダのメカニックとエンジニア達は非常に忙しい週末を過ごしています。本日のセッションは普段よりもロングランにフォーカスしたプログラムでしたが、昨日と同様にマシンの感触は悪くありませんし、明日に向けて良い手応えを感じています。

ギヨーム・デゾテウスパフォーマンスエンジニア

FP3では2台ともが予定していたプログラムを完了する事ができて順調なセッションになったよ。グリッド降格を考慮して、今日は普段のFP3ではあまり行わないロングランに時間を割く事にしたんだ。そのおかげでドライバー達は、今週末重視していた決勝レースにおける燃料とタイヤのマネジメントについての理解を深める事が出来た。

パワーユニットを旧型に戻したことによって、昨日と比べてストレートでの戦力が少し落ち、若干後退を強いられた。新しくアップデートされたPUは、キャリブレーションやシャシーとのマッチング調整など、一部のエリアについてもう少し作業が必要だって事が分かったんだ。グリッド降格は元々決定していたことだし、ホンダの決断には我々トロロッソ側も完全に納得している。

予選セッションは計画通りに進める事が出来た。ピエールはアタック1周目から速さを見せ、見事にQ1を突破してくれた。前走のマシンのスリップストリームを上手く使いタイムアップを果たした部分はあったけど、それがなかったとしても常にQ2進出に足るペースで走行できていたと思う。ペナルティによる降格が決まっていたから、Q2は出走しない事にした。

ブレンドンの方は少し苦戦してしまい、残念ながら最初のアタックではQ2へ進出できる速さを示せなかった。これに加えて、アタック2周目の時はシロトキン(Williams)が原因の黄旗の影響で、アタックのチャンスを失ってしまった。

中団グループにはハイパーソフトでスタートするマシンが何台かいるから、その部分の対策に重点を置きつつ、レースでの戦略オプションをさらに検討して、明日の決勝に挑むつもりだ。


2018年F1第16戦ロシアグランプリ決勝レースは、日本時間9月30日(日)20時10分から行われ、1周5872mのソチ・オートドロームを53周する事で勝敗を決する。

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