ん?リッチエナジー、差止命令を受けて新しいロゴを公開するも…
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ホワイト・バイクスのロゴを盗用したとして、著作権侵害訴訟に敗訴したリッチエナジーは、裁判所からの差止命令が発せられた7月18日に、新しいロゴを公開した。
2019シーズンよりハースF1チームのタイトルスポンサーを務めるリッチエナジーは、英国の自転車専門ブランド、ホワイト・バイクスを所有するATBセールス社が起こした著作権侵害訴訟に敗訴。英国ロンドン高等裁判所は5月に、リッチエナジーのロゴが、ホワイトバイクスのロゴの盗用だと認める判決を下した。
リッチエナジー側は不服を唱え控訴申請を行ったもののの、法廷の判断は覆らず棄却された。差止命令が発せられた7月18日、リッチエナジーは、WEBサイトや自社商品などに掲載されていたロゴを、リニューアルされた新しいロゴに置き換えた。ハースは、敗訴の裁定が下った第8戦カナダGP以降、当該部分を取り除いたロゴをマシンやレースウェアに掲載している。
問題となったのはロゴの構成要素の内、ロゴマークと呼ばれるタイポグラフィ以外の部分だ。角の生えた雄鹿の頭部を想起させるそのオブジェクトから、顔の部分が削除され、2つの角が左右独立したようなデザインへと変更された。またこれに伴い、ロゴマーク下部の「Energy」の「E」のデザインが変更され、登録商標を表すレジストレーションマーク(TM)の位置も変更されている。
左からリッチエナジーの新ロゴ、旧ロゴ、ホワイトバイクスのロゴ
各々の角の長さやその間隔は異なるものの、内側に3本の鋭角な突起を配置する部分は変わっていない。造形的に見ると、リッチエナジーの新たなロゴは、そのカタチである事の必然性を微塵も感じさせないが、意図するところは明らかだ。
従来と全く異なる印象を与えるロゴへと変更する事になれば、これまでの投資をドブに捨てることになる。見る者に与える印象を変えないようにするために、旧ロゴとの変更点を最小限に留めつつ、裁判所が”ホワイトバイクスのロゴとは異なる造形”だと認めざるを得ないデザインへと変更したものだと言えよう。
「盗用の盗用」が「オリジナルの盗用」か否かを裁判所がどう判断するのかは興味深いが、法的に言えば、少なくとも”新ロゴはホワイトバイクスのロゴの著作権侵害とは言い難い”だろう。ただし、この手法が企業倫理的に正しいのかどうかについては別問題だ。