ルノーF1、新型コロナは「前例なき危機」英国勤務スタッフの大多数を一時解雇

アルバート・パーク・サーキットを歩くエステバン・オコンとルノーのスタッフ、2020年F1オーストラリアGPにてcopyright RENAULT SPORT

ルノー・スポール・レーシングは4月10日(金)、従業員のレイオフを含めて、F1パワーユニット開発拠点の仏ヴィリー=シャティヨンおよび、英国エンストンの車体開発ファクトリーでの活動を全面的に縮小する措置を発表した。スタッフの大規模な一時解雇を決めたのはマクラーレン、ウィリアムズ、レーシングポイントに続いて4チーム目。

ルノーF1の2大開発拠点は、F1競技規約に定められた5週間のシャットダウン義務を消化するため、3月30日から5月3日まで関連部門が閉鎖されるだけでなく、人件費を圧縮するために次の追加措置が講じられる。

パリ近郊にあるヴィリー=シャティヨンのエンジンファクトリーでは、4月6日からの12週間に渡って暫定的なパートタイムスケジュールを採用し、オックスフォードシャー州のエンストンに関しては4月1日から5月末日まで従業員の「大多数」が一時解雇される。なお英国政府の雇用維持対策を活用することで、管理職を含む全チームメンバーに対して給与の最低80%を保証する。

解雇期間についてルノーは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を巡る状況の進展に応じて短縮あるいは延長される可能性があるとしている。F1シャットダウンの対象外であるフォーミュラEとカスタマー・レーシング部門については、社会情勢や会社の財務状況などに応じて適切なタイミングで作業を再開する。

F1は現時点で開幕9戦全てが事実上の中止を強いられており、収入が大きく低下しているだけでなく、今後の見通しも極めて不透明であるため、あらゆるコスト削減策を講じる方向で調整が進められている。その一環として、2021年に予定されていた大規模なルール変更は2022年まで延期され、一部の開発を凍結することで今季用のマシンを来年も継続使用する

さらにF1首脳陣とチーム代表らは、来年施行される予算上限ルールを見直して、上限金額を現在の1億7500万ドル(約190億)よりも引き下げる方向で議論を進めている。

ルノーは声明の中で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響について「この数週間で直面した危機は前例のないものだった」と述べ、極めて強い危機感を示し、マネージングディレクターを務めるシリル・アビテブールは「人類は今、非常に困難な衛生的状況に直面しており、フランスやイギリス、そしてグランプリ開催国の大部分は対策としてロックダウン措置を講じている。我々のスポーツへの影響は計り知れない。だからこそ、この長引く不確実性と休止期間を乗り切るために、あらゆる手段を駆使しなければならないのだ」と語った。

F1は今夏後半にシーズンを再開する事を目論んでおり、無観客レースを含めてあらゆる可能性を模索している。F1のマネージングディレクターを務めるロス・ブラウンは、たとえ10月までシーズンを開幕できなかったとしても、”世界選手権格”でのシーズンを成立させる事が出来ると意気込んでいるが、ワクチンの開発には18ヶ月程度かかるとみられており、決して見通しは明るくない。

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