メルセデスとホンダの性能差は10馬力、とレッドブル…改善すべきはエンジンではなく車体
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レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、最強メルセデスとホンダとのエンジン性能差は、30でもなければ20でもなく10馬力だと考えており、この僅かな差も、近々予定されているアップグレードによって更に縮まると目を輝かせている。
ーーチャンピオンシップ争いに足らなかった唯一のパーツが出揃ったーー
ルノーとの12年間の関係に終止符を打ち、栃木県で開発が行われているF1パワーユニットを手に入れたレッドブル首脳陣は、マクラーレンとの悲惨な3シーズンを過ごしたホンダの成果物を「パワフル」とさえ呼び、ルノーと共に過ごした力不足の5年間からの脱却を喜んだ。
鬼才エイドリアン・ニューウェイの情熱は再燃し、レッドブルはチャンピオンシップ争い復帰への上昇機運を高めているが、これはホンダの馬力が有望だからという理由だけではない。ヘルムート・マルコは、高出力のパワーユニットを手に入れた事によって、マシン開発の方向性を転換させる事が出来るのだと語る。
「我々は過去5年にわたって、可能な限りダウンフォースを少なくして空気抵抗が少ないマシンの開発を進めざるをえなかった。それはパフォーマンスへの妥協を意味するが、それも終わりだ。我々がオーストラリアに大型のウイングを持ち込まなかったのはそれが理由だ」とDr.マルコ。地元メディアにこのように語った。
レッドブルの言葉を借りれば「非力なルノー」を搭載していたために、ミルトン・キーンズのチームは昨年まで、トップスピードを確保するために可能な限り低ドラッグのマシン開発を進めてきた。これは、コーナーを高速に走行するために必要不可欠なダウンフォースの減少とニア・イコールであり、エンジンの性能不足によってマシンのパフォーマンスが阻害されていた事を意味する。
新生レッドブル・ホンダはその初陣となった2019シーズンの開幕戦で3位表彰台を獲得。戦略ではなくコース上のガチンコ勝負でフェラーリを抜き去り、ハイブリッド・ターボ時代の常勝軍団メルセデスのルイス・ハミルトンを追い詰める程のパフォーマンスを見せた。
「レースでは終始、エンジン側に全く問題がなかった」とDr.マルコ。「今後に向けて励みになる。燃費やパワー、バッテリーなど、あらゆる点でノートラブルだった。パッケージの中でベストなのはホンダエンジンだ。シャシー側については改善しなくてはならない」
マルコの発言から明らかなように、現時点でのRB15は要改善のラベルが貼られた”不完全体”だ。では、レッドブルは今年のチャンピオンシップを諦めているのだろうか? マルコはその望みは絶たれていないと主張する。
「メルセデスのギャップは悲観的なものではなかった。我々はフェラーリよりも前に位置していた。目指しているのは常に頂点であり前を見据えている。マックスは非常に素晴らしい形でシーズンをスタートさせた。タイトルを獲得するという事は、結果を残してポイントを獲得する事に他ならない」
「ホンダの役員会は我々に、近々更なるパワーを提供してくれると約束してくれた。フロントランナー達に追いつくためには、今度は我々のシャシー開発をかかっている。タイトル争いに絡むのは必須事項であり、(今季)5勝という目標は最低ラインだ」