支配的な競争力が仇に…レッドブルF1衰退の萌芽は2023年絶頂期のアップグレード、とホーナー
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2024年型F1マシン「RB20」が抱えているバランスの問題について、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、事の始まりは2023年6月のスペインGPで導入したフロアのアップグレードだったと説明した。
独Auto Motor und Sportによると、2年ぶりにコンストラクターズ選手権首位から転落したアゼルバイジャンGPを経てホーナーは、「開発の歴史を遡った結果、最初の間違いが2023年のバルセロナで投じたアンダーボディのアップグレードで既に起きていたことが分かった」と語った。
風洞との相関が根底にあるとされる一連の問題をレッドブルが1年近くも放置する結果となったのは、マックス・フェルスタッペンがそれでもなお、支配的なパフォーマンスを発揮し続けたことが一因だった。
ホーナーは「それは、チェコ(セルジオ・ペレス)がクルマに問題を感じ始めたグランプリでもあった。マックスが勝ち続けていたため、我々はそれをあまり深刻に受け止めなかった」と説明した。
また、レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは「本当に間違った方向に進んだのは、今年のイモラだった」と付け加えた。
フェルスタッペンは2023年のスペインGP後も競争力を失うことなく、バルセロナを含めた以降7戦で6回のポールポジションを獲得して8連勝を飾った。
アゼルバイジャンで改訂版のフロアが投入されたのは偶然ではない。テクニカル・ディレクターを務めるピエール・ワシェによると、モンツァでの惨敗を経てエンジニアリングチームは、クルマの一貫性を損ねる要因がフロアのどの部分にあるのかを特定したという。
これが一定の功を奏したことは、ペレスが表彰台争いに絡んだことからも明らかだが、カルロス・サインツ(フェラーリ)とのラスト2周でのクラッシュにより、それをリザルトとして残すことはできなかった。
この事故は連戦のシンガポールGPに影響を及ぼす可能性がある。ホーナーはスペアパーツが不足していることを認めた。ミルトンキーンズのファクトリーに許されたリードタイムは5日しかない。新型フロアが間に合わなければ、ペレスは再び競争力を失うことになるかもしれない。
とは言えこのフロアは完全なソリューションではない。本命はアメリカGPでの投入が計画されている次のアップグレードだ。ただし、バクーでのクラッシュによりファクトリーのリソースが予定外に費やされているため、影響が及ぶ可能性は否定できない。