レッドブル、条件次第でピエール・ガスリーのアルピーヌF1移籍容認の方針
Published:
2023年に向けたF1ドライバーズ・マーケットにはまだ、驚きの展開が待ち受けているかもしれない。レッドブル・レーシングはピエール・ガスリー(アルファタウリ)のアルピーヌF1移籍を容認する方針のようだ。
ドイツのベテランF1ジャーナリスト、ミヒャエル・シュミットによると、レッドブルのドライバー人事を掌握するヘルムート・マルコはアルピーヌからオファーがあった場合、条件次第でガスリーを契約から解放する用意がある事を明らかにしたと言う。
ガスリーはレッドブルとの間で2023年までの契約を締結しており、既に来季もイタリア・ファエンツァのチームでドライブする事が発表されている。移籍のためにはまず何よりも、現行契約の途中解除が求められる。
興味深い事にヘルムート・マルコはサマーブレイク中、ドイツの「SPORT1」とのインタビューの中でガスリーとの契約に解除条項はないと述べ、早期離脱を認める意思がない事を仄めかしていた。
ただ、セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)の電撃引退発表により大きく揺れ動いたドライバーズ・マーケットは今も、日々新たな動きを見せており、状況は刻一刻と変化している。
ドライバー育成に関するレッドブルの現在のターゲットの一つは、”次のマックス・フェルスタッペン”の発掘と言える。ヘルムート・マルコはガスリーを高く評価しているものの、フェルスタッペンを打ち負かすだけの存在足り得ないと考えているフシがある。
また、ガスリー自身もレッドブルへの再昇格のチャンスがなければレッドブルファミリーを離れる事を望んでいるものと理解されており、ヘルムート・マルコも現行契約満了後のガスリー放出を容認する考えを示している。
アルピーヌ移籍の噂についてガスリーはF1ベルギーGPの予選後に「今の段階ではあまりコメントしたくない」と詳しい言及を避けている。
無論、レッドブルが来季シートに頭を悩ませるライバルチームに無条件で手を差し伸べるはずもなく、全てはアルピーヌが何を提案してくるかに依るだろう。
まず思い浮かぶのは金銭だが、契約承認委員会(CRB)の審議結果如何に関わらず、関係悪化に伴いアルピーヌに居場所がなくなると思われるオスカー・ピアストリを差し出してくるというシナリオも考えられる。
仮にガスリーがアルピーヌに移籍する事にでもなれば、来季契約は「水面下の状況次第」としている角田裕毅のF1での3シーズン目は明るい。
なおガスリーの後任には、インディカードライバーのコルトン・ハータの名が取り沙汰されている。アメリカ人ドライバーの中で最も有望な若手の1人であるハータとピアストリを迎え入れるチャンスがあるとするならば、ヘルムート・マルコはどちらを選ぶのだろうか。
エステバン・オコンの来季のチームメイト候補にはガスリーの他に、マクラーレンとの早期契約解除に同意したダニエル・リカルド(マクラーレン)や、今季限りでのFDA契約終了が報じられているミック・シューマッハ(ハース)の名も含まれている。オコン本人は旧知の仲であるシューマッハへの希望を公言するものの、自身に決定権はないと強調している。
CRBの一件に関しては、遅くとも次戦オランダGPまでには何らかの発表が行われるものと見られており、2022年のヨーロッパラウンドはドラマチックな移籍発表で締め括られる可能性がある。