ピエール・ガスリーの2021年再昇格は失敗に終わると考えるレッドブル・ホンダ
Published:
レッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表は、ピエール・ガスリーを再度昇格させたとしても、2019年と同じように失敗に終わると考えており、ポルトガルGPのヒーローがアレックス・アルボンの代わりに2021年のマックス・フェルスタッペンのチームメイトを務める可能性を除外した。
アルガルベ・サーキットで行われたF1第12戦ポルトガルGPでは、アルファタウリ・ホンダAT01のステアリングを握るガスリーが、中団チーム最上位となる5位フィニッシュを果たした一方、アルボンは6番グリッドからスタートしながらもポイント圏外の12位に終わり、同じRB16を駆り3位表彰台に上がったフェルスタッペンに周回遅れにされた。
© Red Bull Content Pool
レッドブル・ホンダはオーバーテイク能力不足を理由として昨年8月にスワップ人事を行い、ガスリーを姉妹チームに降格させ、その後任としてアルボンを昇格させた。自信とプライドを傷付けられたガスリーはその後、腐ることなく成長を続けて、昨年のブラジルGPで初の表彰台を獲得すると、モンツァで行われた今年のイタリアGPで見事初優勝を飾った。
僚友ダニール・クビアトを全く寄せ付けない走りはポルトガルGPでも変わらず、ガスリーは日曜のレースの主役の一人となったが、クリスチャン・ホーナーは仮に今のガスリーに「RB16」のステアリングを握らせたとしても、アルボン同様に苦戦を強いられるだろうとの見方を示した。
「ピエールは素晴らしい仕事をしていると思うし、今日のレースも素晴らしかった。それに何度か見事なオーバーテイクを見せていた。アルファタウリは運転しやすいマシンだ。それはアレックスがドライブしていた昨年もそうだった」とクリスチャン・ホーナーは説明する。
「もし2人を交代させたとしても、おそらく全く同じ状況になるだろう。そう考える理由はすべて揃っている」
昨季型のRB15もそうであったが、レッドブルのマシンはリアがナーバスでオーバーステア傾向が強く、乗る者を選ぶところがある。クリスチャン・ホーナーは、ガスリーを昇格させても失敗するとの予測は印象論ではなく、データに裏付けされた確かなものだと主張する。
「仮にアレックスがアルファタウリのマシンに乗れば、おそらくピエールと同じようなパフォーマンスを発揮するだろう。我々はドライバーに関するデータを数多く持っている。我々と彼らのマシンの特性は大きく異なるんだ」
「12ヶ月前のピエールがそうであったように、アレックスも特定のコンディションにおいて苦戦している」
レッドブルはガスリーを姉妹チームに残したいと考えているが、初優勝によって波に乗る24歳のフランス人ドライバーは再チャンスを望んでいる。
「ドライバーをどうするかはレッドブルが決めることであって、僕が出来るのは最大限のパフォーマンスを発揮することだけだ。(シートがどうなるかは)僕のコントロールの及ばない話だからね」とガスリーは語る。
「今のところ上手くやれていると思うし、このチームでは過去のどのドライバーよりも多くのポイントを獲得している。どこかの時点で報われることを期待するよ」
新たな空力規約が導入される2022年以降の見通しが立たない以上、ホンダF1ワークスとしての最終年度となる来季は、メルセデスを打ち倒してチャンピオンシップを獲得する最大にして最後のチャンスとなり得るだけに、フェルスタッペンのチームメイトには、彼に届かないにしても常にコンマ数秒以内のパフォーマンスを発揮する腕前が求められる。これは、レース戦略を考える上での最低条件と言える。
クリスチャン・ホーナーはもとより、ドライバー人事権を一手に掌握するヘルムート・マルコも認める通り、来季シートに足るだけの才能があることを証明するためにアルボンに残された時間は限られている。イモラで開催される次戦エミリア・ロマーニャGPはそのラストチャンスであり、仮にアルボンが適任でないと判断すれば、チームはセルジオ・ペレスかニコ・ヒュルケンベルグを選ぶとしている。