F1バルセロナテスト《8日目》総合結果:レッドブルは悪夢の幕引き…それを横目に跳馬は前年王者と超接戦バトル
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2019年シーズンのF1バルセロナ合同テスト8日目のセッションが、3月1日金曜に開催された。最終日のこの日は気温10℃、路面11℃と、これまでで最も温かい気候の中でグリーンフラッグを迎え、正午には気温17℃、路面28℃まで上昇。2週間後に控えるメルボルンでの開幕戦を前に、全10チームがカタロニア・サーキットでの最後のテストに臨んだ。
レッドブル・ホンダ、信頼性トラブルで走行不能
メルセデスとフェラーリが予選並みの超接戦を演じたのとは対照的に、チャンピオンシップへの殴り込みを目指すレッドブル・ホンダは、非常に厳しい形でテストを締め括る事となった。
この日RB15のステアリングを握ったのはマックス・フェルスタッペン。昨日のピエール・ガスリーのクラッシュによって破損したマシンは、メカニック達の夜通しの作業により修復され、フェルスタッペンは朝イチでコースイン。だが、ガレージ内に籠もる時間が長く、午前の4時間で走ったのは僅かに29周。ライバル全チームがC5タイヤでパフォーマンスランを行った一方、C3を履いて8番手タイムを残したのみで昼休みを迎えた。
そして迎えた午後。チームはギアボックスに問題が発生している事を発表。夕刻以降のコース復帰を目指して作業が続けられたが、チャッカーフラッグまでにピットアウトする事はなかった。テスト1が非常にスムーズだっただけに、ギアボックスにクラッシュと、立て続けの試練での幕引きは悪夢とも言える。
ガレージ内で待機する他なかったマックス・フェルスタッペン
午後のセッションが0周に終わった事で、レッドブル・ホンダは十分な量のフルレースシミュレーションをこなせないまま、ぶっつけ本番に近い状態で開幕オーストラリアGPへと向かう事になる。
兄貴分がメカニカルトラブルに苦しんだのとは対照的に、トロロッソ・ホンダはこの日も快調。ダニール・クビアトが131周を走り込んで、トップから0.677秒遅れの堂々5番手タイムを記録した。
フェラーリとメルセデスによる予選並の白熱バトル
スポンサーの意向もあっただろう。これまで黙々とロングランを重ね手の内を見せる事を拒んできた王者メルセデスだが、遂にC5コンパウンドを投入。赤き跳馬スクーデリア・フェラーリと共に、予選と見紛う僅差のバトルを繰り広げた。
まずは、フェラーリのセバスチャン・ベッテルが先制攻撃。午前の終盤にC5コンパウンドで1分16秒221をマーク。僚友シャルル・ルクレールが前日に残した本テスト最速タイムをキッカリ100分の1秒上回り、先輩ドライバーの威厳を保った。シルバーアローの午前を担当したバルテリ・ボッタスはコンマ3秒届かず暫定2位。午後のルイス・ハミルトンへの期待が高まった。
現地14時からの午後の部は、まずは各チーム共にレースシミュレーションを実施。日が陰り空気密度が高まる現地17時を前に、ハミルトンが闘志に火を入れた。まずはC4コンパウンドで1分16秒628をマーク。自己ベストを更新して3番手に浮上した。ウォーミングアップが終わった後は、禁断のC5へとスイッチ。ボッタスを交わす1分16秒224を記録して、ベッテルの1000分の3秒差まで詰め寄った。
セッション終了15分前という見せ場の時間帯に、ハースのケビン・マグヌッセンがターン4でグラベルの餌食となり赤旗中断。結局ハミルトンが更にタイムを削ることはなく、ベッテルが紙一重という僅差でトップタイムと相成った。とは言え、フェラーリSF90は午後のセッション中にターン2でマシンストップ。電気系統の問題に見舞われたため、セッション2時間強を残して早々にテストを切り上げる事を強いられた。
尻上がりで調子を上げたミッドフィールダー
レッドブル・ホンダが下降線を描いたのとは対照的に、ミッドフィールダー達は概ね尻上がりで調子を上げ、堅実な形でバルセロナを後にした。
昨年のプレシーズンテストでは、マシンの信頼性不足のために十分なマイレージを稼げなかったマクラーレンであったが、テスト2では連日100周超えを達成。この日MCL34をドライブしたカルロス・サインツは、個人最多134周を走破。ルノー、トロ・ロッソと並んで、16秒台を刻んだ中団チームの一つに名乗りを上げた。
午前にダニエル・リカルド、午後にニコ・ヒュルケンベルグを起用したルノー・スポールはトータル101周。シーズン序盤に3強に割って入るのは厳しそうだが、中盤以降の開発競争では一歩先を行ってくれそうだ。ヒュルケンベルグは4番手、リカルドは8番手でマシンを降りた。
アルファロメオ・レーシングはセッション中、タチアナ・カルデロンが今シーズンも引き続きテストドライバーを務めることを発表。メキシコ企業をスポンサーに持つカルデロンは、女性として初めてFIA-F2選手権に参戦することが決定している。この日C38をドライブしたキミ・ライコネンは、体力の衰えを感じさせることなく132周を走り込み、トップから1.018秒遅れの9番手タイムを記録した。
例年フォース・インディアが冬季テストでキャッチーな見出しを飾る事はなかったが、チーム名がレーシングポイントと代わっても、その文化は引き継がれているようだ。先週は信頼性に難を抱えていたRP19であったが、この日セルジオ・ペレスは104周を走破。タイム的には、ウィリアムズのロバート・クビサのみを上回る形でテストを締め括った。
F1合同テスト《8日目》総合結果
Pos | Driver | Team | Time | Tyre | Laps |
---|---|---|---|---|---|
1 | ベッテル | フェラーリ | 1:16.221 | C5 | 110 |
2 | ハミルトン | メルセデス | 1:16.224 | C5 | 61 |
3 | ボッタス | メルセデス | 1:16.561 | C5 | 71 |
4 | ヒュルケンベルグ | ルノー | 1:16.843 | C5 | 51 |
5 | クビアト | トロロッソ | 1:16.898 | C5 | 131 |
6 | サインツ | マクラーレン | 1:16.913 | C5 | 134 |
7 | グロージャン | ハース | 1:17.076 | C5 | 73 |
8 | リカルド | ルノー | 1:17.114 | C5 | 52 |
9 | ライコネン | アルファロメオ | 1:17.239 | C5 | 132 |
10 | マグヌッセン | ハース | 1:17.565 | C5 | 94 |
11 | フェルスタッペン | レッドブル | 1:17.709 | C3 | 29 |
12 | ペレス | レーシングポイント | 1:17.791 | C5 | 104 |
13 | クビサ | ウィリアムズ | 1:18.993 | C5 | 90 |