揺らぐポルシェのF1参戦、レッドブルが否定的? ホンダとの提携継続の可能性は
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2026年のF1パワーユニット・レギュレーションが世界モータースポーツ評議会で正式承認されてひと月が過ぎ去ろうかという8月未を以てなお、”レッドブル・ポルシェ”誕生のニュースはない。
逆に、詳細がより不透明であった同じフォルクスワーゲン傘下のアウディの方が先にF1参戦を正式表明した。どうやら、ポルシェのF1参戦計画は暗礁に乗り上げているようだ。
7月頭に公開されたモロッコ競争協議会の文書から、ポルシェがレッドブル・テクノロジー社の50%の株式を取得する計画を立てている事が明らかとなった。世界に冠たるドイツの高性能自動車メーカーが影響力を確保したいと考えるのは頷ける話だ。
だが、ポルシェの本国、ドイツの「Auto Motor und Sport」によると、交渉が進展しない理由はこの点にある。
レッドブルの首脳陣、つまりクリスチャン・ホーナー、ヘルムート・マルコ、エイドリアン・ニューウェイは、自主性が損なわれる事への懸念からポルシェの保有率を抑えたいと考えているとされる。出資割合は議決権に影響する。
交渉上有利な立場にあるのはレッドブルだ。
英国ミルトン・キーンズに新設されたレッドブル・パワートレインズ(RBPT)のファクトリーでは既に300人の従業員を雇用して2026年型パワーユニットの開発が進められており、今年のサマーブレイクを前に初めてテストベンチを稼働させている。
更に、新たなPU規定が導入される2026年のF1復帰を検討しているとされるホンダというカードをちらつかせる事も可能だ。
英Autosportによるとクリスチャン・ホーナーは、契約が今も成立していない事を明かした上で、必ずしもポルシェと提携する必要はないと言わんばかりに、エンジンの自社製造に取り組むRBPTプロジェクトの意義を繰り返し強調した。
「エンジンとシャシーの統合ソリューションを以て、全てをひとつ屋根の下に置くフェラーリ以外の唯一のチームとなることが目的であって、それが明確な計画なのだ」
対してポルシェは、アウディとは異なりゼロから独自にパワーユニットを開発する気はなく、RBPTとの提携がF1参戦の必須条件だと理解されている。
つまり、レッドブルとの交渉が破談になれば参戦そのものが危ぶまれる事になる。レッドブルにはプランBがあるが、ポルシェにはないというわけだ。
なおホーナーは、2026年以降のホンダとのコラボレーションの可能性について問われると、「2026年に向けては何も修正されていない。つまり、我々はRBPTを設立し、300人以上を採用した。これが我々の進むべき道だ」と答えた。
2026年からの参戦のためには、遅くとも2022年10月15日までにFIAに申請を行い手数料を支払わなければならないと考えられており、これを逃せば2027年まで待たなければならなくなる。