アルボンの鈴鹿事故、影響は中国のみならずF1シーズン全体に…懸念するヴァウルズ
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アレックス・アルボンのF1日本GPでのクラッシュは次戦中国GPだけでなく、2024年シーズン全体、チャンピオンシップ争いに深刻な影響を及ぼす恐れがある。
鈴鹿での53周のレースの1周目、アルボンはターン3に向けてダニエル・リカルド(RBフォーミュラ1)の右リアと接触。ホイールを芝に落としてコントロールを失い、2台は揃ってバリアに吸い込まれていった。
幸いにも両ドライバーに深刻な怪我はなかったが、クルマは別だ。
ウィリアムズは前戦オーストラリアGPでもアルボンがクラッシュを喫してシャシーを損傷した。現場での修復が叶わずスペアシャシーがなかったため、チームはポイント獲得の可能性が高いアルボンに残ったシャシーを与えた。結果、事故を起こさなかったローガン・サージェントが欠場を余儀なくされた。
本国イギリスのファクトリーへと送られたシャシーは修復作業を経て鈴鹿に送られた。修復版のシャシーを与えられたサージェントはFP1でクラッシュを喫し、マシンは再び深刻なダメージを負った。
レースでアルボンが壊した個体は修復版ではない方のシャシーだった。
クルマのダメージについてジェームズ・ヴァウルズ代表は「全くの偶然だが、(メルボルンでのクラッシュの際と同じようにシャシーの)右前方にまたも僅かな損傷があるようだ」と説明した。
「どれだけの被害かについては詳しく調査する必要があるが、撮影された写真を見る限りは修復可能なように見える」
事故についてアルボンは「バリアから外れたタイヤがクルマの下に入り込んで、それが車体を引き裂いてしまったんだ。かなりのスピードから一瞬で停止したから心配だ。タイヤに隠れて良く見えなかった。クルマに大きな問題がないと良いんだけど」と振り返った。
2戦で計3回の大クラッシュは頭の痛い問題だ。スペアシャシーについてヴァウルズは、5月のマイアミGPまでは用意できないとしており、鈴鹿でのクラッシュでダメージを負った個体も修復作業のためにファクトリーに送られる事になる。
問題はシャシーに留まらない。ウィリアムズは鈴鹿に空力アップグレードを持ち込んでいた。しかしながらサージェットとアルボンの事故により、2つあったパッケージは全て失われてしまった。
中国GPまでは2週間あるが、輸送時間を考えるとパーツの製造のために残された時間は1週間足らずと考えられる。ただ、それ以上に問題なのは恐らく予算だ。
ギアボックスやエンジンが損傷するなど、3回のクラッシュはいずれも大きなものだった。これらの損害は当然、レギュレーションで上限が定められている予算を更に圧迫する事になる。
つまりマシンの開発計画、残りのシーズンで投入が予定されているアップグレードが制限されるという事だが、RBやザウバー、ハースやアルピーヌを含む中団の争いは恐ろしくタイトであり、開発競争で遅れを取れば競争力を一気に失う可能性がある。
「この2週間は厳しい状況が続いている」とヴァウルズは語る。
「どのチームにとっても、クルマに搭載されている殆どすべてのパーツが壊れてしまうような深刻なクラッシュに3度見舞われるというのは非常に大きなことだと思う」
「シーズン全体を通して、ということであれば対処可能だが、数レースで対処するのは難しい」
「できるだけ早くスペアを作らなければならないが、最終的にはパフォーマンスに影響を与える事になる。被害が大きい分、多くのアップデートを持ち込む事ができなくなるし、それらのストックをまた作り直さなければならない」
「上手くいけば幾つかのパーツを再利用できるかもしれないが、殆どは無くなってしまった」