F1のあるべき姿じゃない…モナコの混乱スタート遅延に批判の声
Published: Updated:
F1モナコGPの決勝スタート時刻を延期としたFIAの判断に対して批判の声が相次いだ。遅らせる理由はなく、世界最高峰の4輪レースを標榜するF1のあるべき姿ではないとの指摘も飛ぶ。
現地15時に予定されていたフォーメーションラップの開始を前に、モンテカルロの街並みは雨に見舞われ、スタート手順は2度に渡って延期された。最初は15時9分、そしてその後、15時16分に延期された。
予期せぬ延期にグリッドは混乱に見舞われた。全車がインターミディエイトを履いてスタートの時を待っていたところ、開始5分を切って突然ウェット宣言が出され、各チームはフルウェットへの交換を余儀なくされた。
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は「一体、何をグズグズしてるんだ?」と、スタートを遅らせなければならない理由を知りたがった。
Sky Sportsのピットレポーター、テッド・クラヴィッツは「混乱というのでは足りない。これは地獄絵図だ!安全を確保してチームに適切なタイヤを装着させる機会を与えたいと考えているのは新しいレースディレクターだけのように見える。これは大混乱とパニックを引き起こした」と伝えた。
各車がインターからフルウェットへとタイヤの交換作業を余儀なくされる中、ピットレーンでクラヴィッツは「雨は殆ど降っていない。ここでは傘の必要すらない。エクストリーム・ウェットのコンディションではない」と報告した。
結局、開始が16分遅れた事でコンディションは悪化した。雨量が増えた事でレースは赤旗中断を余儀なくされた。
ロイターによると、延期の理由の一つとして週末にウェットセッションがなかったためだとFIAが説明した事について7度のF1ワールドチャンピオン、ルイス・ハミルトン(メルセデス)は「僕らはF1ドライバーなんだ。それが良い理由でないのは間違いない」と語った。
「小雨が降り始めた最初の段階で僕が『行こう』って言ったのはそういう事なんだ。この件はドライバーズ・ブリーフィングで話し合う事になると思うけど、兎に角、僕らはレースを始めるべきだった」
またマクラーレンのダニエル・リカルドは、定刻通りにレースを開始する事に何も問題はなかったと指摘した。
「確かにどうなるのかよく分からない不安定な状況ではあったけど、それが僕らのやるべきことなんだ。危険だったとは思わない」
「一旦レースを始めた後に出された赤旗に関しては、100%正しい判断だった。でも15時にスタートしなかった理由については僕には分からない」
フェラーリのマッティア・ビノット代表も奇妙な延期判断に疑問を呈したが、中にはレースディレクターを支持する声もある。
スポーツカーレースでの経験が長いマクラーレンのアンドレアス・ザイドル代表は「不必要なリスク」を負う必要はなかったと指摘した。
マイケル・マシが解任された事で、今季のレース監督は2名体制に変更された。モナコでは新任のエドゥアルド・フレイタスがレースディレクターを務めた。FIA世界耐久選手権(WEC)で豊富なレースディレクター経験を持つフレイタスは、前戦スペインで初めてF1を担当した。
雨による赤旗の後、現地16時5分に再開されるまで、レースは45分近くに渡って中断された。
FIAの広報担当者によると、この遅れは停電のためにスタートシステムが停止した事が原因で、レース再開時にスタンディング・スタートではなくローリング・スタートが採用されたのは、グリッドの路面状況に差があったため公正さを優先した結果だったようだ。