豪雨・赤旗 混沌再び…フェルスタッペン、ベッテルに並ぶ9連勝!入賞争うも角田無念 / F1オランダGP《決勝》結果とダイジェスト

セバスチャン・ベッテルに並ぶ史上最多9連勝記録に並んだマックス・フェルスタッペンを抱えるレッドブルのクルー、2023年8月27日F1オランダGP決勝レースCourtesy Of Red Bull Content Pool

2023年FIA-F1世界選手権第14戦オランダGPが現地8月27日にザントフォールト・サーキットで行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が3年連続のポール・トゥ・ウインを飾り、セバスチャン・ベッテルが持つF1史上最多連勝記録9に並んだ。

2位はフェルナンド・アロンソ。ファステスト・ラップによるボーナス1点と共に、6月のカナダGP以来初となる表彰台をアストンマーチンに捧げた。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

ザントフォールト・サーキットで表彰台に立つフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)、レッドブルのチーフデザイナーを務めるエドワード・アヴェリング、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)ピエール・ガスリー(アルピーヌ)、2023年8月27日(土)F1オランダGP決勝レース

セルジオ・ペレス(レッドブル)は3位でフィニッシュするも、ピットレーンの速度制限違反(0.8km/h)による5秒ペナルティを受け4位に後退。序盤の速度違反により同じく5秒を科せられながらも、ピエール・ガスリーがアルピーヌ移籍後初となる表彰台に上がった。

他車への走行妨害による3グリッド降格ペナルティを受け17番グリッドに着いた角田裕毅(アルファタウリ)は入賞圏内を争ったものの、ピットストップでのタイムロスやレース前に決定した戦略に固執した事に加え、ジョージ・ラッセル(メルセデス)との接触の責任を問われて5秒ペナルティを受け、13位フィニッシュの最終15位に終わった。

左手中手骨の骨折により戦線離脱を強いられたダニエル・リカルドの代役としてF1デビュー戦に挑んだリアム・ローソンは、バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)をオーバーテイクするなど幾つかの見せ場を作り、チームメイトの角田裕毅を上回る13位で初戦を締め括った。

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エステバン・オコン(アルピーヌ)を先導する角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ)、2023年8月27日(土)F1オランダGP

全長4,307mのザントフォールトを72周する事で争われた本大会のフォーメーションラップは気温18℃、路面31℃のドライコンディションで開始されたが、1周目にゲリラ豪雨が到来した。早々に路面は乾きスリックタイヤの出番となったが、最終盤に再び土砂降りとなり赤旗中断。戦略は広範に渡り、クラッシュや接触、ペナルティが多く見られるなど大荒れのレースとなった。3台がリタイヤした。

フェラーリ勢はシャルル・ルクレールが初陣ローソンにすら抜かれる始末で全くペースが上がらず、42周目にガレージにクルマを入れてリタイヤした。ルクレールによれば、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)との接触により「空力学的にかなり重要な部分」が破損したため「クレイジーな程に苦戦」したという。カルロス・サインツは最終ラップの5位争いでルイス・ハミルトン(メルセデス)を抑え切った。

最前列2番グリッドに着いたランド・ノリス(マクラーレン)は、インターミディエイトへの履き替えが遅れて序盤に後退するも7位にまで巻き返した。

開始直後の大雨の際に唯一ピットインしなかったアレックス・アルボン(ウィリアムズ)は、ピアストリを抑えて8位でフィニッシュ。エステバン・オコンは入賞圏内最後の10位に滑り込み、アルピーヌがダブルポイントを獲得した。

レース概要

公式タイヤサプライヤーのピレリは2番目に硬いレンジのC1からC3までのコンパウンドを投入。ハミルトンのみミディアムをチョイスし、他の19台はスタートタイヤにソフトを選んだ。

スタート時は小雨だったものの、オープニングラップ終盤には豪雨となり、ペルスを含む8台が一斉にピットレーンになだれ込み、インターミディエイトタイヤに履き替えた。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

スタート直後のメインストレート、2023年8月27日F1オランダGP決勝レース(ザントフォールト・サーキット)

雨がすぐ止み路面が急速にドライに戻ると考えたノリスやラッセルを含む9台は2周目もステイアウト。最終的にはウィリアムズ勢、ピアストリ、ボッタス、ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)がソフトタイヤでの走行を継続した。雨は程なくして止んだ。

ピットレーンは混乱した。ルクレールはタイヤの準備ができておらずタイムをロス。角田裕毅も同様の理由に加え、混雑するファストレーンに出られずタイムを大きく失った。また、ローソンはチームがダブルスタックさせた際、ケビン・マグヌッセン(ハース)の走行を「不必要に妨害」したと判断され10秒ペナルティを受けた。

結果的にペレスやガスリー、周冠宇(アルファロメオ)を含む1周目の終わりにピットインしたドライバーは大幅に順位を上げた。フェルスタッペンは2周目にピットインして4番手に後退した。

その後、ルクレールはピアストリとの接触によりフロントの右翼端板を破損。ペース不足に陥ると、9周目にチームメイトのサインツに6番手を譲り、42周目にリタイヤした。

10周目、徐々に路面が乾き出し、ハミルトンとマグヌッセンが先陣を切ってソフトに交換。角田裕毅を含めた他車もこれに続いてスリックに履き替えた。

ペレス自身の判断でないとすれば不可解だ。レッドブルはどういうわけか、リードするペレスではなくフェルスタッペンを先にピットに入れた。誰もがスリックに履き替えた後の13周目にピットに入ったペレスはチームメイトに首位を奪われた。ピットストップ順に関しては通常、チーム内で前を走るドライバーが優先される。

Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2023年8月27日F1オランダGP決勝レースのドライバー別タイヤ戦略表

9番手を走行する角田裕毅は、メインストレートでオコンをウォールに追いやるように防御。1度はポジションを守ったものの、14周目にオコンとアルボンに立て続けにオーバーテイクを許した。

3番手スタートながらもインターへの履き替えが遅れて18番手にまで沈んだラッセルは「表彰台の可能性があったのに、何をやらかして台無しにしたんだ」と不満を漏らした。

15周目、ローガン・サージェント(ウィリアムズ)がターン8で飛び出しクラッシュ。セーフティーカー(SC)が導入された。ピットレーンの制限速度を0.1km/h超過したとして、ガスリーは5秒ペナルティを受けた。

レースは22周目にリスタートを迎えた。角田裕毅を追い抜きあぐねたノリスは43周目にピットイン。角田裕毅の前方を走るオコンはこのタイミングでカウンターを打ち、その翌周には唯一のノンストッパー、アルボンも動いたが、アルファタウリはステイアウトを選択した。結果的にこの判断は失策だった。

51周目、角田裕毅はラッセルとの攻防の際にフロントウィングの左翼端版が接触。一件の責任を問われ5秒ペナルティを受けた。使い古したソフトはペースが上がらず、55周目にはノリス、ハミルトンに対して追い抜きを許し、ポイント圏外11番手に後退した。

61周目、豪雨の到来を受けて2番手ペレスが先陣を切ってピットイン。 各車続々とインターミディエイトに履き替えた。ラップリーダーのフェルスタッペンは1周遅れでピットに向かったが首位を維持した。

インターに履き替えた2周後、ペレスはターン1で飛び出しアロンソに2番手を許すると、その周の終わりに入口のバリアに接触しながら再びピットレーンに。フルウェットに交換した。その直後、周冠宇がターン1の壁に突き刺さり赤旗中断となった。

角田裕毅も同じ様にストレートで止まり切れずトラックを滑走したが、グラベルに助けられ接触は避けられた。

43分間の中断を経てSC先導の下、残り8周で各車コースイン。レースコントロールはインターミディエイトの使用義務を課した上でローリング・リスタートを選択した。

オーダーは赤旗が振られる1ラップ前のものが採用され、フェルスタッペンをトップにアロンソ、ペレス、ガスリーが続いた。角田裕毅は12番手からポイントを懸けた最後の戦いに向かった。

小雨が降る中、67周目にグリーンフラッグが振られた。ラッセルはノリスとのバトルの際に接触。タイヤがパンクしたようで最後尾にまで転落し、その後、ピットに向かった。

マグヌッセンは最終盤の赤旗後のリスタートの際、セーフティーカー(SC)先導下での2周を通して「幾度にも渡って」10車身ルールに違反。14位でフィニッシュしたものの、後に5秒ペナルティを科されて16位に降格した。

2023年F1第14戦オランダGP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 72 2:24:04.411 25
2 14 フェルナンド・アロンソ アストンマーチン・メルセデス 72 +3.744s 19
3 10 ピエール・ガスリー アルピーヌ・ルノー 72 +7.058s 15
4 11 セルジオ・ペレス レッドブル・ホンダRBPT 72 +10.068s 12
5 55 カルロス・サインツ フェラーリ 72 +12.541s 10
6 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 72 +13.209s 8
7 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 72 +13.232s 6
8 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 72 +15.155s 4
9 81 オスカー・ピアストリ マクラーレン・メルセデス 72 +16.580s 2
10 31 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 72 +18.346s 1
11 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 72 +20.087s 0
12 27 ニコ・ヒュルケンベルグ ハース・フェラーリ 72 +20.840s 0
13 40 リアム・ローソン アルファタウリ・ホンダRBPT 72 +26.147s 0
14 77 バルテリ・ボッタス アルファロメオ・フェラーリ 72 +27.388s 0
15 22 角田裕毅 アルファタウリ・ホンダRBPT 72 +29.893s 0
16 20 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 72 +31.410s 0
17 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 72 +55.754s 0
NC 24 周冠宇 アルファロメオ・フェラーリ 62 DNF 0
NC 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 41 DNF 0
NC 2 ローガン・サージェント ウィリアムズ・メルセデス 14 DNF 0

コンディション

天気晴れ
気温18℃
路面温度31℃

セッション概要

グランプリ名 F1オランダGP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 ザントフォールト・サーキット
設立 1948年
全長 4307m
コーナー数 14
周回方向 時計回り

F1オランダGP特集

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