アップグレードで「決定的な一歩」を踏み出しながらも何故メルセデスはモナコを悲観するのか?

互いの健闘を称え合うマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とジョージ・ラッセル(メルセデス)、2022年5月22日F1スペインGP決勝レースCourtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

第6戦スペインGPで大きな一歩を踏み出したにも関わらず、メルセデスのトト・ウォルフ代表は、今季型W13は低速が弱いとして、カレンダー屈指の低速コース、モンテカルロ市街地コースでのF1モナコGPに悲観的な考えを示した。

スペインGPを経てメルセデスの指揮官は「我々にとってモナコは必ずしも常に満足な成績を残してきたレース」ではなく「バルセロナで見たように、今シーズンは低速コーナーが苦手だ」として、慎重なスタンスを崩さなかった。

F1マシンの低速性能を測る上でカタロニア・サーキットの第3セクターは欠かせない。スペインGPでのセクター3のパフォーマンスは伝統的に、モナコGPの行方を占う上で取り上げられてきた。

予選でのラップタイムを見てみると、セクター3ではフェラーリ勢がトップ2を占拠。これにバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)を間に挟む形でレッドブル勢が続いた。

メルセデスはジョージ・ラッセルの7番手が最上位だった。チーム別としては5番目と、ハースとアルファロメオに先行を許しており、タイヤのオーバーヒートの影響という可能性はあるが、少なからずウォルフの発言を裏付けている。

Pos Driver Time
1 C.ルクレール 27.336
2 C.サインツ 27.394
3 M.フェルスタッペン 27.411
4 V.ボッタス 27.443
5 S.ペレス 27.465
6 K.マグヌッセン 27.561
G.ラッセル 27.698
8 L.ノリス 27.768
9 L.ハミルトン 27.821
10 D.リカルド 27.867
11 周冠宇 27.87
12 M.シューマッハ 27.888
13 E.オコン 27.896
14 角田裕毅 27.984
15 P.ガスリー 28.035
16 F.アロンソ 28.09
17 S.ベッテル 28.197
18 A.アルボン 28.327
19 L.ストロール 28.395
20 N.ラティフィ 28.586

ルイス・ハミルトンとジョージ・ラッセルがバルセロナで繰り返し口にしたように、アップグレードが導入されたバルセロナでのW13は、ストレートでポーパシングから解放されていた。だが、モータースポーツ戦略ディレクターを務めるジェームズ・ヴァウルズは、今後のレースで再び発生する可能性を除外していない。

ヴァウルズはクルマに対する理解及びアップグレードという点で、メルセデスがスペインで「決定的な一歩」を踏み出したとしながらも、バルセロナはもとより、メルセデスが伝統的に得意としていたコースであるとし、「ポーパシングが解決したというのは誤りだ」と指摘した。

モナコはあらゆるコーナーの通過速度が極めて遅く、高いダウンフォースが求められる。また、非常にタイトなヘアピンがあるためステアリング・ジオメトリーを変更したり、バンピーな路面に対応するためにライドハイトを高くしなければならない。

モナコの攻略法についてハミルトンは「軽くて軽快なマシン、優れたダウンフォース、適切なパワーウェイトレシオ、適切なコースポジション、前方のクリーンエア、バリアに触れる覚悟が必要だ」と語っている。


カレンダー最短、全長3340mのモンテカルロ市街地コースは世界屈指の難コースだ。マシンが年々大型化する一方でコース幅は変わらず狭く、周り一面をガードレールが囲うため、一瞬のミスが大きなアクシデントに繋がる。

2021年のモナコGP決勝レースでは、予選2番グリッドのマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が後続を8.968秒引き離してトップチェッカーを受けた。

2022年のF1モナコGPは日本時間5月27日(金)21時からのフリー走行1で幕を開ける。

F1モナコGP特集

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