フェルスタッペンは何故、珍しくも最終計測でミスを喫したのか?

腕を組みコースインの時を待つレッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペン、2022年5月7日F1マイアミGP予選Courtesy Of Red Bull Content Pool

予選では常に各ラウンドを1セットのみで切り抜けるなど、ミスのない一貫性あるハイレベルなパフォーマンスを見せてきたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)だが、5月7日(土)のF1マイアミGP予選では肝心のQ3最終計測でミスを冒した。

フェルスタッペンはQ3での1回目のラップを終えて1分28秒911を刻み、後続を1000分の64秒引き離して暫定ポールにつけたものの、最終アタックではターン5で挙動を乱して計測を断念。フェラーリ勢がタイムを更新した事でシャルル・ルクレールがポール、カルロス・サインツが2番手に続き、自身は3番手に後退した。

奇妙なスナップ

予選を終えたフェルスタッペンは一件について「奇妙な事にコントロールを失ってしまった」と説明した。

「ターン5で突然、スナップしてしまい、何とかコースに留まろうと頑張ったんだけど上手くいかなかった。それでラップを断念して後続のクルマに迷惑をかけないようにしたんだ」

「でもまあ、あのスナップの仕方はちょっと変な感じだったね。でもまぁ、こういう事は起こり得るものだからしょうがない」

クルマの状態が悪かったのだろうか?

フェルスタッペンは初日金曜に冷却系とギアボックス交換を余儀なくされた後、油圧に問題が発生した事で走行時間を失いハンデを負う事になった。

初開催のマイアミ・インターナショナル・オートドロームに関するデータが不足していた事は確かで、それによりクルマを仕上げ切る事ができなかったと言う可能性も考えられる。

だがフェルスタッペンは「クルマの出来は悪くない」と説明し「このクルマには競争力があると思うし、トップスピードも良いから、それが明日の助けになれば良いなって思ってる」と続けた。

Q3でさえ学習途上だったフェルスタッペン

では何がミスに繋がったのか? フェルスタッペンはトラブルによって走行時間をロスしたために限界を探るための時間がなく、Q3でさえ、クルマについて学び試している段階だったと説明した。

「予選では、ある時点までは良かったんだけど、いざ限界まで攻めて、もう少しタイムを出そうとしようとしたら…ああなってしまった」

「Q3でも僕はまだ、ブレーキングやブレーキの掛け方など、いろんな事について学んでいる最中だったんだ。より速く走るためにね」

Courtesy Of Red Bull Content Pool

マイアミ・インターナショナル・オートドロームを攻めるフェルスタッペン、2022年5月7日F1マイアミGP予選

レッドブルとフェルスタッペンが相手にしているのは、如何なるコンディションであれ高い競争力と信頼性を誇示するフェラーリだ。信頼性のトラブルによって走行時間を失うような状況は許容できない…フェルスタッペンはチームに喝を入れた。

「昨日は4、5周しかしていない。新しいサーキットやストリート・サーキットでは、兎に角、周回を重ねてクルマを理解し、リズムを掴む事が重要なのに」

「通常のサーキットでリズムを掴むのは凄く容易いけどストリート・サーキットでは遥かに難しい。僕らは基本的に、その点で失敗していたんだ」

「無論、僕らは大きく巻き返せるだけの十分な経験を積んでいるとは思うけど、戦う相手が手強い場合は特に、そんなところで躓いているような余裕はない」

「もちろん、あと一歩のところまでは行けたけど、もし金曜日をもっとクリーンに過ごせていれば、今日はもっと良い仕事ができたはずだ」

打倒フェラーリ、好材料と未知数

最前列をフェラーリに許したとは言え、決勝での逆転の可能性は残されている。チーム代表のクリスチャン・ホーナーはRB18のストレートライン・スピードはフェラーリより「遥かに速い」として、オーバーテイクは不可能ではないと主張した。

ルクレールは「接近を許せば守るのはかなり難しい事になるだろうね」と述べ、レッドブルの最高速を脅威と認めた。

「僕らの方はコーナーでアドバンテージがあるから、その部分で引き離して直線区間での彼らの追い抜きのチャンスを封じ込められれば良いけど、明日になってみない事にはどうなるかは分からない」

Courtesy Of Ferrari S.p.A.

予選を終えた直後のシャルル・ルクレール(スクーデリア・フェラーリ)、2022年5月7日F1マイアミGP

もう一つの好材料はスターティンググリッドだ。フェルスタッペンはポールシッターのルクレールと共に、レーシングライン上の奇数列につく。

初日を終えて角田裕毅が「予想していたよりも滑りやすく、何台かのマシンがそうでしたが、レーシングラインからタイヤ1本でも外れてしまうと一気にグリップが失われるような状況です」と指摘したように、ライン外のグリップは著しく悪い。

この状況は予選後も変わっていない。ルクレールは自身のポールラップを振り返り「トリッキーで本当に滑りやすく、少しラインを外れただけにすぐにグリップが失われ、タイムも大幅に落ちてしまうから全てをまとめ上げるのは本当に難しく、ラップは完璧じゃなかった」と語った。

つまり、奇数グリッドにつく事はグリップレベルという点で、それだけで大きなアドバンテージとなる可能性があるわけだが、この点についてフェルスタッペンは慎重だ。

「他の連中のスタートを見たわけじゃないし、左側であれ右側であれ僕はスタート練習を一度もしていないから正直言って分からない」

F1マイアミ予選:最高速と区間ベスト

フェルスタッペンは更に「明日は凄く熱くなりそうだし、タイヤがどうなるか全く分からない。だって僕らは誰もが、真っ当にロングランをこなせていないわけだからね。まだ疑問符がたくさんある」とした上で、「もう少し前からスタートしたかった」と付け加えた。

2022年 F1マイアミ・グランプリの決勝レースは、日本時間5月8日(日)28時30分にフォーメーション・ラップ開始を迎える。1周5,412mのマイアミ・インターナショナル・オートドロームを57周する事でチャンピオンシップを争う。

F1マイアミGP特集

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