絞り込まれるシート候補…メルセデスF1「無視できない」ベッテル除外せず、一方でアントネッリのテスト計画を拡大
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ルイス・ハミルトンの後任候補が着実に絞り込まれる中、メルセデスのトト・ウォルフ代表はセバスチャン・ベッテルとの契約の可能性を除外しておらず、また一方では、ジュニアドライバーのアンドレア・キミ・アントネッリのF1テスト計画を拡大する。
FIA-F3選手権を経ず、今年、プレマ・レーシングから異例のFIA-F2選手権デビューを果たした17歳のイタリア人ドライバーは、5月17~19日にイモラで行われるF2での次戦までの空き時間を利用してメルセデスの旧車でF1テストを行う。
これはハミルトンがフェラーリに移籍する事が決まる以前から計画されていたが、エースドライバーの離脱を経てメルセデスは、テスト日数を増やす事を決定したようだ。
F1日本GPの初日を迎えた鈴鹿でウォルフは「キミのF1テストプログラムが決定したのは最近の事ではなく、ここ数週間で大きく変わったわけでもない。我々がやったのは日数を増やしたことだが、彼が来年F1マシンに乗るかどうかは別として、今後数ヶ月に渡って行われるテストは以前から計画されていた」と説明した。
現行マシンでのテストは競技規定で厳しく制限されている。故に、若手ドライバー向けのテストは旧車で行われる。
レギュレーションは2シーズン前のマシンでのテストを認めているが、メルセデスの初代グランドエフェクトカーである2022年型「W13」は、ポーパシングやバウンシングでドライバーを悩ませた問題児であるため、メルセデスはまず、2021年のコンストラクターズ選手権を勝ち取ったW12でのテストを計画している。
「まずはF1マシンに慣れてもらうために、何日かの走行を行うつもりだ」とウォルフは説明する。
「最初にオーストリアで2021年型マシンをドライブする。22年型に乗せる前に、彼には本当に良いクルマがどんなものなのかを感じてもらいたいんだ」
キミ・アントネッリという若き才能に注目する一方、ウォルフは彼とは対照的な4度のF1ワールドチャンピオン、セバスチャン・ベッテルとの契約を検討している。ベッテルは今週、2025年のF1に復帰する可能性を示唆した。
ベッテルについてウォルフは「決して無視する事のできない人物だ」と語る。
「彼が打ち立てた記録は驚異的だと思う。おそらくは、自分にとって何が重要なのかを再確認し、モチベーションを向上させるために、休みを取ることも時には良い事だろう」
「我々はまだ決断を下していないし、今後数週間で決断するつもりもない。ドライバーマーケットは本当に流動的だ。本当に優秀なドライバーの何名かは、他のチームと契約しようとしているが、我々はこうした話し合いを続け、選択肢をオープンにしておきたい」
キミ・アントネッリはF2の開幕3ラウンドを経て、宮田莉朋を抑えてランキング9位につけている。アルバート・パークでのフィーチャーレースでは予選2番手から4位フィニッシュした。
F2ドライバーと言えばオリバー・ベアマンだ。キミ・アントネッリのプレマでのチームメイトであるベアマンは、F1第2戦サウジアラビアGPでカルロス・サインツの代役としてフェラーリからデビューを飾り、いきなり入賞を果たす印象的なパフォーマンスを見せつけた。
「オリバー・ベアマンがサウジアラビアGPで見せた競争力には元気をもらった」とウォルフは語る。
「フリー走行なし、高速、複雑なコースで、彼はやってのけた。だから、キミも大丈夫だろう」
サインツやフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)、そしてマックス・フェルスタッペン(レッドブル)など、ハミルトンの後任候補には様々な名前が上げられているが、ウォルフは公にこそしないものの、既に候補を絞り込んでいる。
心の中で1人、2人、3人と絞り込んでいるのか?と問われたウォルフは「そうだ」と答えた。