マクラーレンF1、2020年新車「MCL35」を世界初公開…コンストラクター4位死守目指す
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F1世界選手権に参戦するマクラーレン・レーシングは、2月13日に本拠地イギリス・ウォーキングにあるマクラーレン・テクノロジー・センターでイベントを行い、2020年型F1マシン「MCL35」を世界初公開した。イベントの模様はSNSやYouTubeを通してライブ配信された。
イベントにはレギュラードライバーを務めるカルロス・サインツとランド・ノリスの他、CEOのザク・ブラウン、チームを監督するアンドレアス・ザイドルらが出席。煙幕が舞台を覆う中、新車「MCL35」はプレゼンテーション冒頭に披露された。
ブラウンCEO、選手権4位をターゲット
「MCL35」は昨年のコンストラクター選手権で4位を獲得した「MCL34」の進化型で、ホンダとのPU契約解消から数えて3世代目の車体となる。エンジンとERSを含めたパワーユニットは、2020仕様の最新版「Renault E-Tech 19」を搭載するが、現行契約は今季末を以て解消され、来季以降はメルセデス製PUを搭載する事が決定している。
8度コンストラクターに輝き、12度のドライバータイトルをもたらした英国の名門チーム、ボーダフォンカラーが印象に強い2012年を最後に勝利から遠ざかっている。ザク・ブラウンCEOは優勝争いへの復帰について、2023年以降を目指すとしており、今季は4位の座を死守する事がターゲットとなる。
「このチームをとても誇りに思っている」とザク・ブラウン。「我々は昨シーズン、激しい戦いを制してコンストラクターズチャンピオンシップで4位を獲得するという目標を達成した。この勢いとチーム内に溢れる活力を以て、今年もまた激しく競い合える事を楽しみにしている」
アンドレアス・ザイドルは「チーム全員が、MCL35の設計、エンジニアリング、製造に多大な時間とエネルギーを費やしてきた。今日は我々の旅の新たな一歩だ。自己満足しないことが重要だ。F1においては楽な事など一つもない。ミッドフィールド先頭を巡る競争はより激しさを増すだろう」と語り、気を引き締めた。
開発の成果に期待を寄せるドライバー
ランド・ノリスにとって「MCL35」は、自身のフィードバックが取り入れられた最初の新車と言える。
「デザインチーム、エンジニア、マシンのビルドチーム、そしてカルロスと僕。このクルマにはみんなの努力が注ぎ込まれているんだ。そんな進化に関与できた事に、特別な気持ちが渦巻いている」とランド・ノリス。
「ルーキーシーズンは素晴らしい経験だった。チームとカルロスから多くを学んだ。1年目を終えて、ドライバーとして自信が持ててきたし、シーズンを通してマシンの性能を追求していく中で、エンジニアに対するフィードバック能力も向上させる事ができた」
「今年の目標はまだ設定していないけど、2019年シーズンに獲得したポジション(4位)を守ることが難しいことは分かっている。でも、テストやレースでトップチームと比較するのが楽しみだ」
今年は現行レギュレーション最後のシーズンとなるため、程度の差こそあれ開発に妥協する部分が生まれ得る。だがカルロス・サインツは、「マクラーレンでは、去年のアブダビGPのチェッカーの後に”リセットボタン”を押して、クルマのあらゆるディテールの改良に懸命に取り組んできた」と説明する。
「昨シーズンの躍進ぶりは大きなモチベーションになったけど、それと同時に、中盤での戦いがいかにタイトであるかを強く思い知らされた。トップとの差を縮めたいと思えばこそ、休んでいる暇などない。自分自身とチームを更に一歩前進させることが目標だ」
MCL35画像ギャラリー
マクラーレンは昨年より、設立当初の1968年から1971年までマシンカラーとしていたパパイヤオレンジを復活させており、今季型「MCL35」もこれを基調とした配色を引き継いだ。軽量化や空力効率改善に成果があるとされるマット塗装も継続された。
アメリカン・ブリティッシュ・タバコの「A Better Tomorrow」やDELL、HUSKI CHOCOLATE等のスポンサーロゴも健在。ビジュアル面での印象に大きな変化はない。