”残酷”なレッドブルに批判的なマクラーレン「何人かのドライバー達をダメにしてきた」
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伝統的にドライバーを「残酷」に扱ってきたとして、マクラーレンのザク・ブラウンCEOはラインナップを頻繁に入れ替え続けるライバルのレッドブル・レーシングに批判的だ。
レッドブルほど入れ替わりが激しいF1チームは他にいない。その理由の一つにジュニアドライバー育成装置としてのアルファタウリ(旧トロ・ロッソ)の存在が挙げられる。レッドブルは4名のドライバーと契約し、それを2チームに分けて配置する。
ピエール・ガスリーとアレックス・アルボン、マックス・フェルスタッペンとダニール・クビアトのシーズン途中での交代劇に象徴される様に、これには状況に応じて柔軟に手駒を移動できると言うメリットもある。他のチームには出来ない芸当だ。
とは言え、ドライバーからしてみれば将来不確かな状況でレースに集中しなければならないという過酷な試練でもある。チーム設立後の過去15シーズンにおいて、レッドブルがシーズン中に3名を起用した年は4度に渡る。
チャンスを活かせなかったと言えばそれまでだが、セバスチャン・ブルデー、スコット・スピード、ハイメ・アルグエルスアリ、ジャン=エリック・ベルニュ、セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー等など、夢のF1デビューを飾りながらも短命でキャリアを終えたドライバーは数しれない。
The Raceによるとマクラーレンの指揮官は「才能がありながらも十分な機会を与えない事で、彼らは何人かのドライバー達をダメにしてしまったと思う」と述べ、ドライバーに対するレッドブルの扱いについて批判的な見方を示した。
「マックス(フェルスタッペン)以外のレッドブルの歴史を見れば、彼らが一握りの偉大なドライバー達をその手から逃がしてきた事が分かると思う」
ブラウンはフェルスタッペンが昨季のF1タイトルを獲得した事に触れ、レッドブルの人事哲学を全面的に批判する事はできないとしつつも「それでも彼らは少し残酷だ。カルロス(サインツ)が良い例だし、ダニエル(リカルド)は既にその実力を証明していたにも関わらず去ることを選択した」
「ベッテルも去った。それにアルボンとガスリー。ガスリーはとんでもないドライバーに見える。彼らは多くのドライバーをとっかえひっかえ歩んできた」
ジュニア・ドライバー・プログラムも同じ様に熾烈だ。マクラーレンのCEOは、パトリシオ・オワードが僅か6ヶ月間でクビを言い渡された事に驚愕したそうだ。
2018年にルーキーながらも17戦中9勝を挙げインディ・ライツでチャンピオンに輝いたオワードはその翌年にレッドブル・ジュニア・チームと契約したものの、FIA-F2選手権とスーパーフォーミュラで数戦ステアリングを握った後、契約解除となった。
今はマクラーレンSPの期待のホープとしてインディカー・シリーズに参戦する22歳のメキシコ人ドライバーについてブラウンは「彼は間違いなく隙間から滑り落ちたドライバーだ」と語った。
「レッドブルがあの間に彼に与えたのは3レースに過ぎなかったと思う」
レッドブルでの境遇を憐れみ、その実力を称賛する一方でブラウンは、オワードが近いうちにマクラーレンのF1シートを手にする事はないと認める。
「今の我々には空席がない。ランド(ノリス)とはかなりの長期契約だし、ダニエル(リカルド)はあと2年ある。つまり空いているシートはない」
「私は、F1でデビューするのは18歳でなければならないという信念を持ち合わせてなどいない。22歳が年寄りだと考える人もいるが私はそんな事はないと思っている」
「素晴らしい解決策なしに、パトをインディカーからF1へ移動させる事はしない。インディカーはエクストリームEやF1と同じように重要な存在だ。インディカーはF1のためのトレーニング場ではない」