破壊王マルドナド師匠、スパ6時間でのWECデビュー戦控え不敵な笑み「楽しい”ガチンコ”バトルができそうだ」
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かつて「史上最大のペイドライバー」「21世紀最強の暴君」「クラッシュトール」などと呼ばれ、多くのファンから愛された「師匠」ことパストール・マルドナドが、今週末のスパ6時間でWEC世界耐久選手権デビューを果たす。
日本円にして50億円を超える巨額の持参金でF1デビューを果たし、ウィリアムズ時代の2012年F1スペインGPでポール・トゥ・ウィン、2015年を最後に数々の武勇伝を残し惜しまれながらもF1を去ったマルドナド。史上最大のペイドライバーの称号はランス・ストロールによって奪われ、久しくレースの表舞台から遠ざかっていた。
マルドナドはポール・リカール・サーキットで行われた公式プレシーズンテストで、LMP2マシンを初めてドライブ。かつてウィリアムズとロータスでF1を折檻したベネズエラの雄は、スポーツカーレースのキャリアをポジティブな形でスタートさせた。
「このタイプのマシンで走るのは今回が初めてだったんだけど、最高に楽しかったよ」とマルドナド。「予想とはかなり違うんだろうなと思ってたけど、マシンの挙動は良かったし、楽しい時間を過ごすことができた。でも始まったばかりだし、現実的にならなきゃね。まだ学習するべき事は多いけど、第一印象はかなりポジティブだった。ドラゴンスピードはかな有望だと思う」
マルドナドは、今季よりWECに新規参戦するドラゴンスピードに加入。メキシコ出身のロバート・ゴンザレスとフランス出身のナタナエル・ベルトンと31号車オレカを共有する。ルマン24時間レースの後に控えるシルバーストン以降のレースでは、ベルトンに代わってアンソニー・デビッドソンがこれに加わる。
2014年の中国GPではピットレーンで、2012年には母国ベネズエラで行われたデモ走行で派手なクラッシュを喫するなど、コース外でも攻撃的なパフォーマンスを披露してきたマルドナドはスパ6時間を直前に控え、プロフェッショナルな真っ向勝負が楽しめそう、と不敵な笑みを見せる。
「WECは素晴らしいシリーズだと思う。F1よりもはるかに自由だけど、本当にプロフェッショナルなレースだよ。マシンバランスには好感触を持ってるし、楽しいガチンコバトルができそうだ。スパでレースが待ち切れないね。スパはGP2時代の2008年と10年に2回勝利したサーキットだから、良い思い出があるんだ」
クラッシャーと揶揄されながらも自身の目指す走りに一切妥協せず、運だけでは決してなし得ないグランプリウィナーに輝き、機嫌よくファンからサインに応じるあの姿が、世界選手権の表舞台にカムバックする。スパ6時間決勝レースは、5日(土)現地午後1時半に幕を開ける。