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2017年のF1マシンにガス欠が多発する可能性が出てきた。
2017年シーズンは、決勝において105kgの燃料搭載がレギュレーションによって認められている。これは前年の100kgより増加した形だ。しかしながらf1i.comが報じたところによると、メルセデス・フェラーリ・ルノー・ホンダの各パワーユニットサプライヤーがプレシーズンテストでの燃料消費を分析した所「予想していた以上に燃料を消費」していたことが明らかになったという。これは一体どういうことだろう?
燃料に厳しい17年F1マシン
レギュレーション変更の内、燃料消費量が大きくなりそうな理由を探ってみると、大きく次の2点が浮かび上がってくる。
- 1,タイヤグリップ及び耐久性向上によりアクセルオンの時間が長くなる
- 2,マシンのワイド化等によって、ダウンフォース・空気抵抗が大きくなる
1,コーナーでもアクセルオン
「《数字で見るF1》2017年シーズン前テストの総合結果をグラフで振り返る」に記したように、先日行われたシーズン前テストでの最速タイムと去年の最速タイムとのギャップは4秒176である。このタイム差の多くは、17年マシンのコーナーリング速度が向上したことに起因する。
昨年まではタイヤのグリップ不足のためにコーナーでアクセルを踏み込めなかったものが、今年はストレートでもコーナーでもアクセルオンできてしまう。加えて、タイヤの耐久性が向上したことでタイヤをいたわる必要なくガンガン攻め込めむことができる。アクセルオンの時間が長くなるということは、その分消費する燃料量が増えるということを意味する。
2,マシンのワイド化による空気抵抗増
2つ目は、ダウンフォース及び空気抵抗の増加である。上の図は、2016年マシンの正面側シルエットの右半分に17年マシンのシルエットを重ねた図であるが、17年マシンの方が正面面積(前面投影面積)が大きいのがお分かりいただけると思う(赤色で示した部分)。面積の増加=空気が当たる面が増加、であるためこの分だけマシンへの空気抵抗は大きくなる。空気抵抗が大きくなるということは燃費が悪くなるということだ。
ましてやタイヤの空気抵抗はただでさえ大きいのに加えて、2017年シーズンはタイヤ幅が約25%程度広くなっている。ダウンフォースの増加量は昨年比20~30%程度と思われる。
燃費の悪いマシンは勝てない
昨シーズンまで、マクラーレン・ホンダが燃料セーブのためにエンジン出力を絞る場面がしばしば見られたが、今年はこういった場面が増えてしまう可能性がある。オーストラリアGPのアルバート・パーク・サーキット、バーレーンGPのバーレーン・インターナショナル・サーキットなどは燃料に厳しいサーキットだ。この手のサーキットで上位に食い込むためには、プリウス並(?)の燃費の良さが要求されてくるだろう。