角田裕毅、”皮肉”な2024年F1リザーブの可能性を指摘するジャーナリスト
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隣のガレージのドライバーが入れ替わり続けている事で、2024年に向けた角田裕毅の見通しが一転、不明瞭なものとなりつつある中、F1公式サイトを含めて様々なメディアに寄稿するジャーナリストのクリス・メドランドは、アルファタウリの来季ラインナップがダニエル・リカルドとリアム・ローソンになる可能性があると指摘する。
角田裕毅は今年、ニック・デ・フリースがチームを率いるとのフランツ・トスト代表やヘルムート・マルコの期待を打ち砕き、チームの今季全得点を1人で挙げるなど、3年目を迎えて頭角を現しているが、デ・フリースの離脱とリカルドの骨折離脱はレッドブル首脳陣に悩みのタネを植え付けた。
角田裕毅を巡る状況は複雑だ。おそらくはシニアチーム昇格の評価のためにレッドブルからデ・フリースの後任をオファーされたリカルドは、有望なパフォーマンスを見せながらも僅か2戦で長期の離脱を余儀なくされ、その代わりに現在、ステアリングを握るローソンは、準備不足の登板にも関わらず目覚ましい走りを見せ、1戦毎に大きく成長している。
復帰の場が日本となるにせよカタールとなるにせよ、リカルドが残りのシーズンのいずれかの段階でカムバックする事は明白で、レッドブル首脳陣が真に見極めたいと思うであろうローソンとリカルドを評価する機会は限られる事になる。
2年目までの角田裕毅についてメドランドは米「RACER」の記事の中で、「ポテンシャルの片鱗は示していた」としながらも、3年目が与えられたのはF1パワーユニット技術供与を受ける「ホンダの要求を満たすためだと見なされていた」とし、デ・フリースがもてはやされていた事に触れて、プレシーズンの段階における角田裕毅に対するチームの態度は「かなり無関心だった」と指摘した。
しかしながら、2023年シーズンの角田裕毅の成長は「見過ごすことはできない」と強調し、デ・フリースやリカルド、ローソンの3人がなし得なかった、なし得ていないアルファタウリ唯一の得点源としてチームを率いている状況を称賛した。
リカルドが怪我をしなかったならば、シーズン後半戦での角田裕毅とのチームメイト対決の結果が来季のドライバーラインナップに大きな影響を及ぼした事だろうが、現実はそうはならなかった。
レッドブルの首脳陣は、十分とは言えないリカルドとローソンのデータを元に、角田裕毅を含めた3人の中で誰を来季のアルファタウリでドライブさせるかを決断しなければならない。
この状況についてメドランドは「皮肉なことに、最高のパフォーマンスを発揮しているドライバーの方が、その座を逃すことになるかもしれない」として、角田裕毅のリザーブドライバー就任の可能性を指摘する。
「アルファタウリでの3シーズンを経て、例え将来のレースシート候補として見なされているという真剣な噂話がなくとも、ツノダがレッドブル内での評判を落としていないであろう事は間違いない」
「ただ、ツノダのことをもっと知るため、メインチームのリザーブポジションに就かせてシミュレーター作業の役割を与え、フェルスタッペンやペレスと密接に仕事をさせるという事も考えられる」
「アレックス・アルボンはこの役割を活かして苦境から立ち直り、レッドブルの後ろ盾を得て再びグリッドにつき、今では2023年のグリッドの中で最も高い評価を得ているドライバーの1人となった。同じ様にフェルナンド・アロンソやニコ・ヒュルケンベルグ、そしてリカルド自身も、休養を前向きに活用できることを証明している」
”リザーブドライバー降格”という響きはネガティブなイメージを与えるが、メドランドは「ツノダがレッドブルに好印象を与えることができれば、更に明るい未来が待っているかもしれない」として、レッドブルでのシミュレーター作業などを通して首脳陣に感銘を与えれば、その経験を含めて将来のキャリアに良い影響をもたらす可能性があると指摘した。
「このシナリオの場合、アルファタウリの2024年のラインナップはリカルドとローソンになる可能性がある。これは経験豊富なドライバーに最後の再起のチャンス(現時点では彼に相応しいと言うべきチャンス)を与えるだけでなく、ルーキーにとって自らを判断するための材料となる既知の強力なベンチマークを確保する事ができる」
「もちろん、ローソンが序盤の勢いを活かせなかったり、リカルドが復帰後に苦戦したりすれば(レッドブル首脳陣にとっての)この困難な状況は解消される。だがレッドブルは、このジレンマがないよりはあったほうがいいと考えている事だろう」