ルノーF1人事急転、突如ジェローム・ストール社長留任を発表…日産ゴーン起訴の影響が遂に?
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ルノー・スポールは1月19日、ジェローム・ストールが引き続きルノー・スポール・レーシングの社長職を継続すると発表した。ルノーは昨年末、2019年1月1日付けでストールに代わりティエリ・コスカスが社長職に就任すると発表していたものの、予告された日時に同氏が新たな職に就任することはなく、突然の留任発表となった。
声明の中でルノーは「ジェローム・ストールは引き続きルノー・スポール・レーシングの社長を務める。ティエリ・コスカスはルノー・グループを去った」と発表。同氏の辞職の理由については一切明らかにされていない。
ルノー・グループは昨年11月15日、ルノー会長兼最高経営責任者(CEO)のカルロス・ゴーン直轄の部下として、ティエリ・コスカスが2019年よりルノーのモータースポーツ部門を監督していく事を明らかにした。
ところがその4日後、金融商品取引法違反の容疑でカルロス・ゴーンが東京地検特捜部に逮捕。ゴーン被告は当時、ルノーだけでなく日産自動車のCEOと、ルノー・日産アライアンスの会長兼CEOを務めていたが、日産の職は即座に解任された。
日産がゴーン被告を解任した一方で、フランス政府を筆頭株主とするルノーは「推定無罪の原則」を盾にゴーン体制を維持。逮捕後、ルノーの取締役会は解任決議を3度見送ってきた。だが、ゴーン被告が特別背任容疑で再逮捕されると風向きが一変。今週、近く解任される見通しが明らかとなった。
ゴーン被告の逮捕後、ルノーF1のマネージング・ディレクターを務めるシリル・アビテブールは、ゴーン容疑者の逮捕が、予算縮小や撤退などの形でF1での活動に影響を与えることはないとの認識を示していた。だが、ゴーン解任の動きが表面化した直後にジェローム・ストール留任が発表されただけに、影響が出てないと信じる事は難しい。
仏フィガロ紙によれば、次期CEOにはゴーン被告の逮捕後に暫定CEOを務めているティエリー・ボロレの就任が有力だという。シリル・アビテブールは昨年、同氏は2016年以降チームの取締役会長を務めており、ティエリー・ボロレがトップに就くとなれば撤退の可能性はありえないと主張している。
ルノー・スポールはニコ・ヒュルケンベルグのチームメイトとして、レッドブル・レーシングからダニエル・リカルドを迎え入れ新しいラインナップで2019シーズンのF1世界選手権に臨むが、その行く先には何やら不穏なムードが漂っている。