F1サウジアラビアGPの舞台「ジェッダ市街地コース」は追い抜き重視の高速コース、設計はヘルマン・ティルケが担当

ヘルマン・ティルケcopyright Daimler AG

2021年11月28日に初開催を迎えるF1サウジアラビアGP。その舞台となるジェッダ市街地コース(Jeddah Street Circuit)は、35年間に渡って数々のレーストラックの設計・改修を手掛けてきた事で知られるヘルマン・ティルケがデザインする。

サウジアラビア政府当局は、リヤド南西のキッディヤ(Qiddiya)に常設サーキットの建設を計画しているが、来年のグランプリ初開催には間に合わないため、首都リヤドに次ぐ第二の都市、ジェッダにストリートサーキットを仮設する。

開催までに残された期間は1年足らずであり、限られた時間内に完成させるためにはこの分野での経験豊富な設計技師が必要だった。サウジアラビアのモータースポーツ連盟会長を務めるハリド・ビン・スルタン・アル・ファイサル王子は、ティルケ起用の理由を次のように説明した。

「時間が限られていたため迅速に作業を進めなければならず、ティルケに直接依頼するのが最善の選択肢だと判断した。我々はストリートと常設の両方のトラック設計の実績を持つ人物を望んでいた」

王子によると、ティルケはF1のスポーティング・ディレクターを務めるロス・ブラウン率いるチームと共に密接に連携しながら作業を進めているとの事で、沿岸リゾートエリアのコーニッシュに予定されているコースレイアウトは既に8割方決定しているという。

全長は5.154km、ストリートサーキットでありながら専用のパドックエリアが設けられ、一般的な公道コースとは異なり中速コーナーが多く配置される見通しだ。なおコースデザインの最重要課題はオーバーテイクに設定されている。

王子はモナコGPが行われているモンテカルロ市街地コースを引き合いに出して、イベント自体は素晴らしいとしながらもレースに関しては「オーバーテイクが少なくエキサイティングではない」と述べ、ジェッダ市街地コースの設計に際しては、追い抜きのチャンスが豊富な高速レースを目標に掲げている事を明かした。

「退屈なレースにはならないと断言できる。我々の目標は、数多くのオーバーテイクがあるエキサイティングかつスリリングなレースを演出する事にある」と王子は付け加えた。

ティルケ設計のサーキットに関しては「退屈」といった批判の声も根強いが、そもそもクライアントワークとしてのデザインは安全性や予算、使用可能な土地の形状などの様々な制約事項や、クライアントからの要求と口出しがあるのが常で、全ての責任をデザイナーに負わせるのは不適当だ。

F1サウジアラビアGPは2021年のF1カレンダー最終2連戦の第1レースとして、アブダビGPの前週末にナイトレースとして開催される。

F1サウジアラビアGP特集

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