時速370kmで壁接触、それでもアクセル緩めぬ佐藤琢磨「全開で行くか、行かないか…これは予選。だから全開で行った」Indy 500
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「全開で行くか、行かないか…これは予選。だから全開で行った」これが2度のインディ500王者、佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング with RWR)の哲学だ。3日間のプラクティスを全て最速でリードした佐藤琢磨のインディ500予選1日目は実にドラマティックだった。
1回目のアテンプトで暫定10番手を刻むも、マルコ・アンドレッティに対する走行妨害があったと見なされタイム抹消となり、今にも雨が振り始めそうなタイミングで逆襲の再アテンプトのチャンスを得ると、3周目のターン2で右リアを激しく壁にぶつけた。
.@TakumaSatoRacer makes contact with the wall in turn 2 during his second qualifying attempt but doesn't lift.
He currently sits P12.
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— NTT INDYCAR SERIES (@IndyCar) May 21, 2022
僅かにでもクルマにダメージがあれば大惨事になる可能性もあるだけに、少なからずアクセルを緩めてしまいそうなものだが、佐藤琢磨は一切臆せず、ベタ踏みでラップを続けた。それは3周目の速度を見れば明らかだ。
予選2日目の”トップ12クオリファイング”の出走権ギリギリとなる12番手を掴み取ったのは、全開で行くことを決断し、それをやり切ったからこそだった。
- 1周目:232.482 mph
- 2周目:231.890 mph
- 3周目:231.244 mph
- 4周目:231.221 mph
- 平均速度:231.708 mph
劇的な予選セッションを終えた佐藤琢磨は「今日は波乱万丈の一日でしたね」と振り返った。
「1回目のアテンプトでのあの速さは正直、予想外でした。予選に備えて午前のプラクティスは参加を見送ったのですが、昨日と比べてコンディションがガラッと変わっていて。誤算でした」
「それに、インラップではマルコ(アンドレッティ)のウォームアップラップを妨害してしまうというインシデントもありました」
「結果としてペナルティが科されましたが、あれは当然だと思います」
「予選タイムが抹消されてしまったため、もう一度計測に向かう必要がありました。いつ雨が降り出してもおかしくない状況だったので、2回目のアテンプトができたのは運が良かったと思います」
「通常は気温が上がっている時に最初に出ていくのはチャレンジングなのですが、今日は幸いにも速く走れる事ができ、トップ12に滑り込む事ができました」
「最終的にはデイビット(マルカス)が13番手、僕が12番手ですので、チームは素晴らしい仕事をしてくれたと思います」
佐藤琢磨は3ラップ目の接触について、不安を感じたと認めつつも「予選ですから全開で行くしかないですよね」と振り返った。
「もちろん、壁にぶつかったり、壁に触れた後にクルマが揺れ始めたら、それは駆動系がダメージを受けたという事なので止めざるを得ません」
「後はタイヤの空気圧ですね。バックストレートで圧が弱くなっているようであれば、安全上の理由からターン3への進入は避けるべきです」
「今回はどちらにも該当しなかったので、僕に残された選択肢は2つでした。全開で行くか、行かないか。でもさっきも言った通り、これは予選です。だから全開で行く事にしました」
「その結果、”バブル”に救われる形ではありますが12番手だったので、全体的には満足しています」
佐藤琢磨は22日(日)の予選2日目に、2008年の500ウィナー、スコット・ディクソンや2018年大会の勝者であるウィル・パワー、予選1日目に圧倒的の233.655mphを刻んだリーナス・ヴィーケイら11名を相手にポールポジションを懸けた争いに臨む。
予選2日目は日本時間22日(日)の29時(午前5時)よりBSスカパー!で、決勝は同29日(日)の24時よりGAORA SPORTSで生中継される。視聴には「スカパー!」の他、光回線を使った「ひかりTV」「auひかり」なら、面倒なアンテナ設置なしでインディカーを楽しむ事もできる。また決勝はHulu ライブTVでもストリーミング配信される。