F1ハンガリーGP決勝グリッドとタイヤ戦略考、主な見どころ︰怪しい雲行きと未知数だらけの変数

ハンガロリンクのピットレーンとガレージ、2022年7月30日F1ハンガリーGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

7月31日(日)の日本時間22時よりハンガロリンクで開催されるF1第13戦ハンガリーGPの公式スターティング・グリッドが発表された。予選結果からの変動および決勝のタイヤ戦略、主な見どころを見ていこう。

「壁のないモナコ」と称されるハンガロリンクでグリッド降格ペナルティを好んで消化しようとする者がいるはずもなく、2日目までにパワーユニットを交換したのは以下の3名のみで、いずれも降格の対象外だった。

  • ランド・ノリス(4基目エキゾースト)
  • ジョージ・ラッセル(3基目MGU-K)
  • シャルル・ルクレール(8基目エキゾースト)

決勝を前にしては、予選Q3でのパワーロスを経てレッドブルが2台のマシンに今季3基目となるICE(内燃エンジン)、ターボチャージャー、MGU-K/H、そして5基目のエキゾーストを搭載した。主要4コンポーネントは年間上限基数に達した。

また、予選19番手のQ1敗退を経て、同じレッドブル・パワートレインズ(ホンダ)製PUを搭載するピエール・ガスリー(アルファタウリ)もエキゾーストを除くPU一式を交換した。交換コンポーネントは全て年間上限基数を超えた。残りのシーズンを見据えての戦略的交換と思われる。

こちらは通常であれば単なる最後尾スタートとなるが、スチュワードによるとチームはテクニカル・デリゲートのジョー・バウアーの許可を得る事なく変更した。これはF1競技規定第40条3項違反であり、スチュワードはガスリーにピットレーンスタートを命じた。

ギアボックスに関してはフェルスタッペンが4基目のケース及びカセット、そして同じく4基目の駆動部品・ギアチェンジ・補助部品を新たに開封した事で早くも年間上限基数に達したが、今週末に降格が科される事はない。

よって19番手以降を除けば予選順位とグリッドの間に相違はなく、ポールポジションにラッセル、最前列2番グリッドにカルロス・サインツ(フェラーリ)が並ぶ。フェルスタッペンは10番グリッド、角田裕毅(アルファタウリ)は16番グリッドからの巻き返しを目指す事になる。

Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

ポールポジションを獲得して笑顔を見せるジョージ・ラッセル(メルセデス)と渋い表情のシャルル・ルクレール(フェラーリ)とカルロス・サインツ(フェラーリ)、2022年7月30日F1ハンガリーGP予選

想定されるタイヤ戦略

涼しい気候が予想される日曜のレースでは、1ストッパー、2ストッパーのいずれの戦略も考えられる。ただしハンガロリンクは伝統的にオーバーテイクが難しいため、殆どのドライバーはトラックポジション重視の1ストッパーを狙うものと思われる。

1ストッパーを成功させるためにはミディアム、ハードと繋ぐ必要があるが、異なるコンディションが予想されるとは言え、暑くなった初日のハードはスライドや摩耗が発生し、ミディアムやソフトよりもペースが遅かった。ハードを機能させられるかどうかが焦点となる。

ピレリによると、1ストッパーと2ストッパー間の理論上の速さに大きな差はなく、オーバーテイク云々を除けば2ストッパーは決して悪い戦略ではないという。

2ストッパーの場合は全てのコンパウンドを使うアプローチに加えて、ソフト、ミディアム、ミディアムあるいは、ソフト、ミディアム、ソフトも「興味深いオプション」だという。

正直なところ、主流となる戦略を予想するのはかなり難しい。日曜はレース開始の数時間前に40%の確率で雨が降る予報となっている。

グランドエフェクトカーの導入によって追い抜き性がどう変化するのか、雨の影響による路面状況の変化、レース中の雨の有無、温度条件の違いなど、戦略決定に関わる変数のどれもが未知数であり、ストラテジストは大いに頭を抱えているはずだ。

主な見どころ

初日から予選に向けて競争力が一変したように、メルセデスが決勝で逆に一気にパフォーマンスを落とす可能性もある。ラッセルが初優勝の懸かったレースでそのプレッシャーにどう対処するのかも見ものだ。

相対するフェラーリは、ラッセルに対して2台のマシンを駆使できるという点で戦略的優位にある。両ドライバーはその可能性を除外しているが、チームオーダーによるコース上での順位入れ替えや、ピット戦略を通してランキング2位のシャルル・ルクレールをサインツに先行させるのかどうかも注目だ。

Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

キャリア初のポールポジションを獲得したジョージ・ラッセルを祝福するメルセデスのクルー、2022年7月30日F1ハンガリーGP予選

巻き返しが至難の業とされるハンガロリンクでフェルスタッペンが何処までポジションを回復できるのかも興味深い。オープニングラップ等、上位勢にドラマがあれば、逆に有利な展開となる可能性もある。

4番手につけるランド・ノリス(マクラーレン)と後方2台のアルピーヌ勢との対決も楽しみな要素の1つだ。その後ろにつくルイス・ハミルトン(メルセデス)がこれにどう絡んでくるかも注目される。

2022年F1ハンガリーGP 決勝グリッド


70周で争われるF1ハンガリーGPの決勝レースは7月31日(日)現地15時、日本時間22時にフォーメーションラップが開始される。日本ではDAZNフジテレビNEXTで生放送・ライブ配信される。

Pos No Driver Team Qualifying
1 63 G.ラッセル メルセデス 1(-)
2 55 C.サインツ フェラーリ 2(-)
3 16 C.ルクレール フェラーリ 3(-)
4 4 L.ノリス マクラーレン・メルセデス 4(-)
5 31 E.オコン アルピーヌ・ルノー 5(-)
6 14 F.アロンソ アルピーヌ・ルノー 6(-)
7 44 L.ハミルトン メルセデス 7(-)
8 77 V.ボッタス アルファロメオ・フェラーリ 8(-)
9 3 D.リカルド マクラーレン・メルセデス 9(-)
10 1 M.フェルスタッペン レッドブル・RBPT 10(-)
11 11 S.ペレス レッドブル・RBPT 11(-)
12 24 周冠宇 アルファロメオ・フェラーリ 12(-)
13 20 K.マグヌッセン ハース・フェラーリ 13(-)
14 18 L.ストロール アストンマーチン・メルセデス 14(-)
15 47 M.シューマッハ ハース・フェラーリ 15(-)
16 22 角田裕毅 アルファタウリ・RBPT 16(-)
17 23 A.アルボン ウィリアムズ・メルセデス 17(-)
18 5 S.ベッテル アストンマーチン・メルセデス 18(-)
19 6 N.ラティフィ ウィリアムズ・メルセデス 20(+1)
Pit 10 P.ガスリー アルファタウリ・RBPT 19(-)

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