謎だったスチュワードの”懸念”はトト・ウォルフ絡み、とクリスチャン・ホーナー

メディア取材に応じるレッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表、2021年7月30日F1ハンガリーGPにてCourtesy Of Red Bull Content Pool

レッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表は、再審請求嘆願書のとある記載に関してスチュワードが”懸念”した内容は、メルセデスのトト・ウォルフ代表によるスチュワードへの働きかけに関するものだと説明した。

過去の事例から明らかなように再審査請求の道のりは厳しく、イギリスGPの1周目の接触事故を巡るルイス・ハミルトンへの裁定見直し請求が却下された事自体は特に驚くものではなかったものの、スチュワードは決定通知の中で妙な言い回しを使った。

それは「証拠不十分にも関わらず不正行為を申し立てるような記載が嘆願書にあった事を懸念している」といったニュアンスのもので、スチュワードは再審査請求を却下した事を理由に、詳細な情報を開示しなかった。

請求却下が発表された後、メルセデスが「再審査請求のために提出された書類を含め、レッドブル・レーシング上層部はルイス・ハミルトンの名声と品位を汚そうとした」等と告発した事から、スチュワードの”懸念”を生んだ嘆願書の記述は、レッドブルが例のクラッシュを故意性あるものだと訴えるような内容だったのではと広く解釈された。

これについてホーナーは「提出書類の中で意図的な行為だと言及した事実はない」と否定して「イベントが開催されている最中におけるスチュワードへのアプローチとそのプロセス」に関するものだったと説明した上で、最終的に再発防止策を講じたFIAの決断に「満足している」と付け加えた。

シルバーストンで行われた決勝レースでトト・ウォルフは、FIAレースディレクターを務めるマイケル・マシに促される形でレース中にスチュワード・ルームに向かった。ホーナーは審判団足るスチュワードの「独立性」が脅かされるとして、抗議のためにその後を追った。

この問題を受けてFIAは、今後は許可なくスチュワードルームに立ち入る事を禁止した。指示に従わない場合は「イベントを安全かつ整然と運営するための関係競技役員の指示に対する不履行」と見なされ、叱責から失格まで多岐に渡る罰則の対象となり得る。

ホーナーの主張通り、スチュワードが文書の中で示した”懸念”は裁定の公平性に関するものであったのかもしれない。だが、それだけではメルセデスがあのような強い表現を使ってまでレッドブル上層部を非難する理由にはならないように思われる。

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