FIA、F1ポーパシング制限の指標を決定…フランスGPより適用へ

ポール・リカール・サーキットを走行するレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、2021年6月18日F1フランスGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

F1を統括する国際自動車連盟(FIA)は第10戦イギリスGPを前に、過度なポーパシングを取り締まるための指標を決定すると共に、ポール・リカール・サーキットで開催される第12戦フランスGPよりこれを適用する方針を明らかにした。

第9戦カナダGPを前にFIAは、ポーパシング(ポーポイズ)現象に対処するための技術指令を発行した。ポーパシングは高速走行時に空力的な上下振動が発生する現象で、技術規定の刷新により今季より導入されたグランドエフェクトの副産物だ。

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2022年型F1マシンのフロア下部に設置された2本のベンチュリートンネル

また、この種のマシンではアンダーフロアで生み出されるダウンフォースを最大化するために、できるだけ車高を下げると共にサスペンションを硬く設定する必要があるため乗り心地が悪く、路面のバンプ等も相まってクルマのフロアが底を打つ「バウンシング」という亜種の問題も発生している。

特にポーパシングが激しいメルセデスW13に乗るルイス・ハミルトンは、バクー市街地コースで行われたアゼルバイジャンGPで10Gもの垂直方向の力を受け、レース後には腰を手で抑えながらクルマを降りる姿があった。

Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

バクー市街地コースでのレースを終えて腰に手をやるメルセデスのルイス・ハミルトン、2022年6月12日F1アゼルバイジャンGP

ドライバーへの健康被害を懸念する声が高まる中、FIAは安全上の理由からこの問題に介入する事を発表。ドライバーが受ける垂直方向の振動レベルに制限を設け、これに違反した場合、チームにセットアップ変更を強制する方向で具体案を取りまとめていた。

適用に向けて前戦ジル・ビルヌーブ・サーキットでデータ収集を行った後、各種の分析を経てFIAは、監視・取り締まりのための具体的な指標を定義すると共に、フランスGPより適用する事を明らかにした。

振動レベルの測定はクルマに搭載されている加速度センサーを用いる。また、アンダーボディ・プランク(フロア下に取り付けられた低車高制限装置)の摩耗並びに、チタン製スキッドプレートの剛性に関する新たな制限も設定された。

2レースの猶予期間が設けられたのは、この新たな技術指令に準拠するために必要となる変更作業について、チーム側に理解のための時間を与えるためだ。全10チームはイギリスとオーストリアで開催される2つのレース週末を通してクルマの挙動を分析し、フランスGPに備える事になる。

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