ベン・スレイエムFIA会長、F1に更なるアンドレッティ承認圧力…商業合意なしに参戦可とも
Published:
国際自動車連盟(FIA)のモハメド・ベン・スレイエム会長はアンドレッティ・キャデラックの新規F1参戦を実現させるべく、フォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)に対する圧力を強めている。
2025年以降の新規参戦チームを決めるための計4チームの審査を経てFIAは、アンドレッティのみをFOMとの最終商談に進める唯一の団体として承認した。ただパドックには”反アンドレッティ網”が広がっており、決定には時間がかかる可能性がある。
ロイター通信によるとベン・スレイエムは、F1カタールGPが行われたドーハで「FIAが承認したチームにノーと言うことは非常に難しい」述べ、アンドレッティが最終的にFOMによって承認されると思うかとの質問に「私は常に楽観的だ。そう思う」と答えた。
曰く、FIAによるアンドレッティの承認が発表されると、F1の商業権を持つリバティ・メディアの株価は上昇した。
ベン・スレイエムはF1競技規定で許されている最大12の参戦枠を全て埋めるべく、自動車メーカーの参入に向けて尽力すべきだとした上で、「自身の夢」は米国の自動車メーカーをパワーユニット・サプライヤーとし、アメリカ人ドライバーを起用するアメリカンF1チームを誕生させ、同じことを中国でも実現する事だと説明した。
また「そうでならないことを願っているが、起こり得る。可能性はある」とも述べ、FOMとの商業的な合意なしにアンドレッティが参戦することは可能とも示唆した。
主に分配金の減少を理由に、新チームの誕生に否定的なアルピーヌとマクラーレンを除く現行8チームの中には、例えばモナコGPが行われるモンテカルロ市街地コースのように、スペースの観点からパドックにこれ以上のチームを抱える余裕はないとする意見も上がっている。
これについてベン・スレイエムは「一部のチームは『混雑するだろう』と言ったが、それは本当だろうか? 我々は既にハリウッドチームと共に走っている」と述べ、ブラッド・ピット主演のF1映画に言及した。シルバーストンでは11番目のガレージが作られ、グランプリ週末に撮影が行われた。
ベン・スレイエムはまた、「サーキットには12チーム分のガレージを設ける十分なスペースがあるはずだ。むしろチーム数よりレース数が多すぎると思う。我々はもっとチームを増やし、レースを減らさなければならない」と続けた。
2024年シーズンは史上最多となる24戦が予定されている。F1カレンダーは年々拡大傾向にあり、チームスタッフの負担やロジスティクスに関わる問題が指摘されている。またドライバーもこれ以上の拡大に反対の声を上げる者が多い。
FIAの承認を経て行われているFOMによるアンドレッティの最終審査は、誰がF1の実質的支配者なのか、誰がF1の将来を決定するのかという点で、FIAとFOMによる権力闘争とみなす事もできる。
ベン・スレイエムは「リバティやFOMの誰かに恥をかかせたり、追い詰めたりすることは私の意図するところではない。私はこのスポーツのスピリットのためにここにいる」としつつも、「我々はチャンピオンシップの所有者であり、それをリースしている立場にある。我々は大家だ。ゆえにその点も尊重されなければならない」と強調した。