懐に隠されたエンジンパワー…新開発なしで進撃続けるフェラーリF1、いつになったら本領発揮?
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本国イタリア方面の幾つかの報道によるとスクーデリア・フェラーリはイモラでの第4戦エミリア・ロマーニャGPに今季初のアップグレードを持ち込み、その後に続く第6戦スペインGPでパワーユニットの全てのポテンシャルを解き放つ計画を立てているようだ。
レッドブルを含むライバルチームが既に新たな開発パーツを投入しているのとは対照的に、ドライバーズ及びコンストラクターズの両選手権で首位に立つフェラーリは第2戦サウジアラビアGPにローダウンフォース仕様のリアウィングを持ち込むも、最終プレシーズンテスト以降、クルマに目立った変更を加えていない。
レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコが「温度やタイヤに関係なく、どんなコンディションでも常に速いクルマ」と指摘する通り、マラネロの今季型F1-75はこれまでのところ、最もバランスが取れた最も完成度の高いマシンであるように見受けられる。
如何にシーズンを通して開発競争が続いていく技術刷新1年目と言えども予算上限が設定されている以上、従来のように手当たり次第に開発を進める事はできない。費用対効果の高いプロジェクトに絞る事が賢明だ。浮き沈み少ないマシンを持つチャンピオンシップリーダーはライバル以上に余裕を持って開発を進める事ができる。
噂では、フェラーリは次戦オーストラリアGPでも過去2戦と同じ構成のマシンを走らせ、母国イタリアでの第4戦で満を持して初のアップグレードを投入する。フェラーリはメルセデスが抱えている程の酷いポーパシングには見舞われていないものの、イモラでの投入が予想される新スペックのフロアは、空力的なバウンシングの問題を更に改善させる狙いがあるようだ。
開幕2連戦を終えてドライバーズランキングで首位に立つのはシャルル・ルクレールで、2位はカルロス・サインツと、跳馬の2人が先頭を走る。コンストラクターズでもフェラーリが2位メルセデスに倍近い差をつけトップを快走するが、それでもパワーユニットの全性能を絞り出しているわけではないようだ。
開幕2戦でのアルファロメオとハースの躍進ぶりに見え隠れするように、E10燃料の導入に伴い支配的な立場を失ったように見えるメルセデスとは異なり、フェラーリの2022年型F1パワーユニット「066/7」は先代と較べて飛躍的に競争力を上げた。対昨年比較で最も大きなゲインを果たしたのがフェラーリである事に疑いはないが、それでもまだ手の内を見せていない可能性がある。
伝えられるところによるとフェラーリは第5戦マイアミGPまでは信頼性を重視してのデータ収集に取り組む計画との事で、懐に更なるエンジンパワーを忍ばせていると取り沙汰されている。
PU凍結時代において圧倒的なパフォーマンス差が確認されれば、ライバルから是正を求める声が上がるのは必至で、その意味においても本領を発揮せずに勝てるのであれば、爪を隠すのが利口というものだ。優位性維持のために、V6ハイブリッド時代の序盤にメルセデスが意図的に最大出力モードを使わなかったように。