フェラーリ勝訴、アストンのF1技術強化計画に打撃―カルディーレの早期合流を阻止

アストンマーチンのモーターホーム、2024年6月21日F1スペインGPCourtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

フェラーリが、元F1シャシーテクニカルディレクターであるエンリコ・カルディーレのアストンマーチンへの早期合流を阻止する法的措置で勝訴した。イタリア・モデナ裁判所はフェラーリの申し立てを認め、カルディーレが2025年7月18日までアストンでの業務に関与することを禁止する判決を下した。

カルディーレは2024年7月にアストンの最高技術責任者(CTO)に就任することが発表されていた。しかし、正式な就任日は明言されておらず、その背景にはフェラーリとの契約問題があったとみられる。

今回の判決により、アストンの技術部門の再編計画には遅れが生じる可能性が高く、特に2026年のレギュレーション変更に向けた開発への影響が懸念される。

copyright Ferrari S.p.A.

エンリコ・カルディーレ

フェラーリ、勝訴で不当競争優位を防止

フェラーリによると、カルディーレは本来の契約上、他のF1チームでの勤務が制限されるガーデニング休暇(競業避止期間)中にもかかわらず、すでにアストンマーティンと何らかの形で業務を行っていたとされる。

フェラーリはこの事態を受け、モデナ裁判所に提訴。その結果、裁判所はカルディーレに対し、即時にアストンとのあらゆる業務関係を断つよう命じる判決を下した。

フェラーリは声明の中で、今回の判決の重要性を強調し、「他のF1チームが契約違反によって不当な競争優位を得ることを防ぐための措置だった」と述べている。

アストンへの打撃、その影響

この判決により、カルディーレの合流は7月まで延期されることが確定した。アストンは、今回の裁判について「カルディーレとフェラーリおよびその法的代理人の間の問題であり、手続きが継続中であるため、現時点でのコメントは控える」と述べた。

アストンは既にエイドリアン・ニューウェイのチーム加入を発表しており、稀代の天才デザイナーは3月3日から業務を開始した。チームはニューウェイを中心に技術部門を再編している最中であり、本来ならばカルディーレの合流もその一環として期待されていた。

今回の法的措置により、アストンの技術部門の強化は想定よりも遅れることになり、その影響は2025年シーズンのみらず、レギュレーションが刷新される2026年の新時代に向けた準備にも及ぶものと見られる。

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