フェラーリF1、ライゼンから第2世代バイオ燃料独占供給…E10導入の2022年に向けライバルにアドバンテージ?
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スクーデリア・フェラーリは2022年より、オイル・燃料パートナーのロイヤル・ダッチ・シェルが出資するブラジルの合弁会社、ライゼンから第2世代のバイオ燃料の独占供給を受ける。
これによりマラネロのチームは、グリッド上のライバルに対して燃料の面でアドバンテージを持つ可能性がある。未定ながらも跳馬以外のチームは、E10燃料が導入される2022年に第1世代のバイオ燃料を使用する可能性が高いものと見られる。
シェルのモビリティ担当取締役副社長を務めるイシュトバーン・カピタニーはロイターとのインタビューの中で「我々は他のチームに第2世代のエタノールを供給することはない」と認めた。シェルはこの燃料がフェラーリの競争力を高める可能性があると考えている。
F1は2030年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを指す「ネット・ゼロ・カーボン」を達成すべく、その第一弾として2022年にV6ハイブリッド・パワーユニットの燃料をE10(化石燃料90%、バイオエタノール10%の混合燃料)に切り替える。
第2世代バイオ燃料とは?
第2世代バイオ燃料とは、サトウキビやトウモロコシといった食糧となる農作物ではなく、食べる事ができない非可食部バイオマスを原料として製造されるバイオエタノールの事を指す。
対して第1世代バイオ燃料は食用可能な農作物を原料とする。そのため、燃料としての消費量が増えると食料価格の高騰に繋がる問題がある。なおバイオ燃料とは生物資源を原料とする燃料の事だ。
日本においてバイオ燃料は、主として地球温暖化や環境対策という文脈で取り上げられる傾向にあるが、世界的にはエネルギー安全保障や農業振興の一環として50年近く前から国家的に進められてきた経済対策的な意味合いが強い。
単に原料が異なるというだけでなく、両世代の燃料生産は技術的にも異なる課題がある。
第1世代も第2世代も原料を分解してグルコース(ブドウ糖)を取り出し、それによってエタノールを生成するという点では同じだが、グルコースを得るに際して第1世代はアミロースを、そして第2世代はセルロースを分解しなければならない。
セルロースは科学的に強固な構造を持っており、溶けづらく、結晶しやすいため、これを酵素で分解するのは非常に困難だとされる。