大型アプグレが期待できないレッドブルとマクラーレン、真の第2形態に注目のアストンマーチン
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シルバーストン・サーキットで開催されるF1第10戦は大部分が本拠を構えるイギリスを舞台とするため、多くのチームが車体の基礎パフォーマンスを引き上げるためのアップグレードを投入する事が予想されるが、選手権リーダーのレッドブルにはそれがない。
予算逼迫レッドブル
RacingNews365によると英国ミルトンキーンズのチームを率いるクリスチャン・ホーナー代表は、大型アップグレードなしに残りのシーズン前半戦を戦う事になると説明した。曰く、例年とは異なり計画されているのは「本当に控えめな進化」のみだと言う。
ホーナーによれば、レッドブルが少なくとも後4戦を開発パーツなしに過ごすのは、物価高騰で予算が逼迫しているためだ。
レッドブルの指揮官は、現時点で最も緊急かつ差し迫った問題はポーパシングではなく予算上限であり、それを引き上げる事だと繰り返し強調している。シーズン後半にはイギリスにおけるインフレ率が11%にまで達するという予測がある。
ただホーナーは予算引き上げについて楽観的な姿勢を見せており、今後数週間のうちに何らかの合意が得られるだろうとの見通しを示している。
マクラーレン、来季までアプグレなしか
レッドブルに関しては、F1財務規定が改訂されればシーズン後半に再びアップグレードを投じる可能性があるものの、今季の残り13戦全てを、ほぼ既存パッケージのまま過ごす事になるかもしれないチームもある。
プレシーズンテストでのブレーキトラブルにより厳しいシーズンスタートを切ったマクラーレンは、スペインでMCL36に大掛かりなアップグレードを導入。これにより低速パフォーマンスを向上させたが、これが今季最後のメジャーアップグレードになる可能性がある。
アドレアス・ザイドル代表は「更なる開発という点ではハンドブレーキをかけなければならない」と述べ、今後は小規模な変更のみに留めてシーズンを戦う意向を示した。
その理由はレッドブルと同じく、予算上限や風洞実験の制限に依るものだが、単にそればかりでもないようだ。
チームは現時点で昨年と同じコンストラクター・ランキング4位につけているものの、第4戦エミリア・ロマーニャGPでのランド・ノリスの3位をハイライトとして、以降は僅かなポイントを集めるだけの状況に留まっており、コース特性や条件によって競争力にばらつきがある不安的な状況だ。
後方に迫るアルピーヌやアルファロメオとは僅差で、いつ逆転を許してもおかしくない。
マクラーレンはMCL36のポテンシャルを発揮できていないと考えており、追加のアップグレードに頼るのではなく、パッケージに対する理解を深め、それによってセットアップを通して潜在的なパフォーマンスを引き出す事に焦点を当てていくとしている。
アストンマーチン、英国で真のAMR22を披露?
ファクトリーからの新たな救援物資が期待できない両チームとは対照的に、アストンマーチンは一部で「グリーン・ブル」と形容されたスペインGPでのアップグレードに続き、イギリスGPで更なるメジャーアップグレードを計画する。
マイク・クラック代表をして「かなり自信を持っている」と言うだけに、シルバーストンでのAMR22は大いに期待される。マクラーレン、アルピーヌ、アルファロメオの中団上位の三つ巴に加われるかどうか注目だ。
なおアストンマーチンは当初、シルバーストンでBスペックを登場させる意向であったものの、初期仕様があまりにも酷かったがために、予定を前倒しして急遽バルセロナにアップグレードを持ち込んだとの噂もある。
もしそうであるとするならば現行スペックは不完全なもので、イギリスGPで御目見するであろうマシンがAMR22の真の”第2形態”と言えるのかもしれない。
追うフェラーリとメルセデスも開発投入
ポーパシングを克服して次なるフェーズに足を踏み入れたメルセデスもシルバーストンにアップデートを持ち込む事を明らかにしているが、テクニカル・ディレクターを務めるマイク・エリオットは現実的で、それでもなおレッドブルやフェラーリには及ばないだろうとの見解を示している。
レッドブルとタイトルを争うフェラーリは現時点で明言していないものの、ホーナーによればマラネロのテクニカルチームはシルバーストンに向けてアップグレードを準備している可能性があるという。
ヨースト・カピートCEOが明らかにしたように、ウィリアムズもまた、母国レースに向けてアップグレード・パッケージを準備している。単独最下位という状況から抜け出せるかどうか。期待したい。