F1︰リバースグリッド予選レースを再検討…今季後半に試験導入の可能性も

F1オーストラリアGP2018、金曜フリー走行でのグリッドcopyright Andy Hone / LAT Images

F1のスポーティング・ディレクターを務めるロス・ブラウンは2021年シーズンに向けて、チャンピオンシップの逆順をスタートグリッドとして行う予選レースの導入を再検討する考えを明らかにした。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で史上初となる同一開催地レースが発生した事で、F1は2020年シーズンにリバースグリッド予選レースの導入を計画していたが、そのためにはチームの全会一致の支持が必要で、メルセデスとレーシングポイントが反対したためにお蔵入りとなった。ファンの支持率も15%と低くかった。

ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)の劇的勝利によって興奮に包まれたF1イタリアGPから一夜明け、レースを振り返ったロス・ブラウンは、隊列の並びが混沌としていた事が白熱のバトルを生み出したとして、リバースグリッド式のスプリントレース案を復活させ、正式導入に向けて調整を進めていくと説明した。

「モンツァはリバースグリッド・スプリントレースの候補に挙がっていたコースだった。残念ながらこの計画を進めることはできなかったものの、我々はFIAと共に今後数ヶ月を通してこのコンセプトに取り組み、来年向けてチーム側と話し合っていきたいと考えている」

「昨日のレースは、混沌とした隊列が興奮をもたらしたのだと考えている。来年のマシンが今年と変わらず同じようなものであるのならば、(予選レースの導入によって)ファンは(各グランプリにおいて)今週末のモンツァで見たのと同じようなドラマを味わえるかもしれない」

「もちろん、リバースグリッドのスプリントレースとなれば、各チームはマシンのセッティングを異なるものにする事だろう。例えばメルセデスは、予選でファステストラップを刻みレースでは隊列をコントロールする事を目指したセットアップを用いている。オーバーテイクが必要な条件になれば、そのアプローチを変えなければならないだろう」

「我々はショーとしての側面を改善するために新しいフォーマットの評価を続けていくが、F1のDNAは守られる」

メルセデスはこの計画を「ギミック」であるとして反意を示したが、トト・ウォルフ代表によるとそれは次の3つの理由からだった。

  • 1︰実力主義に反する
  • 2︰イベントの”ゲーム化”に繋がりうる
  • 3︰速いチームほど多くの損失がある

しかしながらルールは変わった。先月交わされた新たなコンコルド協定では全会一致制が廃止され、投票の”圧倒的多数”の確保によって承認が得られる事となった。新しい合意の下では、ルール変更のためには全30票の内の28票が必要となる。30票の内訳は、FIAとリバティメディアがそれぞれ10票ずつ、各チームが1票ずつを持つ。つまり、2チームが反対したとしても承認される事になる。

F1は来シーズンからの導入を目指して今季後半の幾つかのグランプリに試験導入したい考えのようで、メルセデスがドライバーズ及びコンストラクターズタイトルを獲得した後にチーム側に正式な提案を行う可能性があるとも伝えられている。このペースで行くと、タイトルは最終戦を待たずに決しそうな雰囲気となっている。

もし本計画が採用に至れば、予選の代わりにドライバーズチャンピオンシップの逆順でのスタートグリッドでスプリントレースが行われ、その結果に基づいて日曜日のメイングランプリのグリッドが決定されることになる。

F1イタリアGP特集

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