F1:2021年中のスプリント予選実施の見通し固まる…金銭面でチーム合意
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数週間に及ぶ話し合いを経て全10チームが金銭的条件で合意に至った事から、「スプリント予選」計画が実行に移される見通しとなった。競技面での詳細を詰めた後、世界モータースポーツ評議会(WMSC)の承認を得て数週間以内に正式決定される見込みだ。
日曜の決勝レースのグリッドをスプリント式レースで決するというこの新たな試みは、今シーズンのイギリスGP、イタリアGP、そしてブラジルGPの3つの週末に試験導入される。
これはあくまでもテストケースとして行われるが、3回の週末におけるファンの動向次第では、次世代シャシーが投入される2022年以降に正式導入される可能性がある。
予選とは言えども実戦形式のセッションが増える事から、各チームからはエンジンを含めたマシンのマイレージが膨れ上がる事によるコスト増加の他に、マシン損傷に伴う追加支出リスクへの懸念が寄せられていた。
一部の大規模資本チームからは、今季より課せられている予選上限を最大100万ドル引き上げる提言がなされたが小規模チームが反対。現時点で詳細は明らかにされていないが複数の情報筋によると、数週間の議論を経てリバティ・メディアが各チームに約50万ドル、日本円にして約5500万円を支払う事で合意に至った。
なおこれと合わせて予算上限も同額引き下げられる。またレース中のマシンダメージで多額の資金が必要となった場合、チームは追加の補償金を請求できる模様だ。
F1では現在、3ラウンド制のノックダウン方式による予選で決勝レースのスターティンググリッドを決している。これは各ドライバーの1ラップタイムを競うものだが、「スプリント予選」はこれに換えてレース形式でグリッドを決める。
1時間という従来の予選時間枠に収めるため、距離は約100kmと通常のレースの3分の1の長さで行われる。スプリントレースの並び順は初日金曜2回目のフリー走行のリザルトを以て決定される。
オーバーテイク促進のためにDRSの使用範囲を拡大させるかなど、今後、競技面での幾つかの詳細に関しての議論が行われる見通しだが、金銭的条件が合意に至った事から、早ければ今月中にも正式決定がなされる可能性がある。