予選欠場は避けられた? TecProバリア設置要望を無視したとしてFIAを批判するF1ドライバー達
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F1初開催を迎えるマイアミ・インターナショナル・オートドロームでは2日目までに相次いで2台がターン14でクラッシュを喫し、コンクリート・ウォールの餌食となった。
51Gの衝撃によってモノコックが破損し、予選欠場を強いられたエステバン・オコン(アルピーヌ)は、TecProバリアを設置するよう求めたものの応じなかったとして、国際自動車連盟(FIA)に批判的だ。
予選を戦うライバルたちのエキゾーストノートが響き渡る中、早々にメディア・セッションに応じたオコンは「何が受け入れられないかと言うと、そんなに大きな衝突じゃないにも関わらず51Gもの衝撃があったって事だ」と語った。
初日にも全く同じ場所でカルロス・サインツ(フェラーリ)がクラッシュを喫した。その日の夜に行われたレースディレクターのニールス・ヴィティヒとの定例ミーティングの中でドライバー達は、より高い衝撃吸収性能を持つTecProの設置を求めたが、その要望は通らなかったという。
「カルロスはレースディレクターに不満を伝えたし、僕ら全員がそれを聞いていたのに、何の対策もされなかった」とオコン。
「カルロスは衝撃があまりに大きかった言っていたけど、実際僕もそれを感じた。おそらく僕のキャリアの中で最大のシャントだったと思う」
硬い壁への衝突によって膝を痛めたオコンは「昨日はカルロスが怪我をして、今日は僕が怪我を負った」とした上で「FIAは僕らの安全のためにもっと努力すべきだ」と付け加えた。
「フェラーリでドライブするカルロスほどのプロフェッショナルなドライバーが言うんだから、それを考慮して可能な限り変更するのは最低限必要だと思う」
オコンのクラッシュを経てサインツは、事故の衝撃で首を痛めた事を明かし「酷評するようで申し訳ないんだけど、昨日FIAに、2速でのクラッシュがこんなにハードであってはならないと思うって伝えたんだ」と経緯を明かした。
そして「あそこは凄く固いコンクリートの壁が設置されていたから、テクプロを入れようって言ったんだ」と続け、何らの対策も取られなかった事については「僕には全く理解できない」と付け加えた。
サインツにとっての英雄、同郷の大先輩であるフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)は「カルロスは昨日、あそこに壁が1枚というのは不適切だとハッキリ口にしていた。今日も同じコーナー、同じ角度で事故があり、別のドライバーが怪我をした」と述べた上で、決勝までに何らかの対策を取るべきだと主張した。
またアストンマーチンのランス・ストロールは、ターン13にTecProを設置するべきだとした上で、サインツのクラッシュを経てそれを怠ったのは「ばかばかしい、冗談みたいだ」と批判した。
ジェッダ市街地コースの安全性に関して批判の急先鋒だったセルジオ・ペレス(レッドブル)は、既に週末がスタートしている中で対策を取るのは「FIAに対して公平に言えば、可能だったとは思わない」と一定の理解を示しつつも、「もう2度とあんな事は見たくないし、ああいうヘビーなアクシデントを避けるために、将来的には追加で何らかの予防策が取られる事を願ってる」と付け加えた。
GPDAディレクターのジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)も「金曜の夜に大きな変更を加えることはできない」としながらも、”ミスジェネレーター”を含む事故が発生したセクター2終盤を「楽しいと思うドライバーはいないと思うし、何ももたらさない」等として、来年以降に向けてはバリアの追加だけでなくレイアウトそのものを再検討するべきだと訴えた。
セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)はターン14の改善の必要性を認めた上で、問題の場所だけでなく「ストレート付近にはSAFERウォールを設置すべきだと思う。コンクリートブロックだけと言うのはまずい」と指摘した。
SAFER(Steel And Form Energy Reduction)ウォールはインディカー・シリーズが先行採用した衝撃吸収装置で、鉄とウレタンで成形された角材で構成されており、表面が滑りやすいように工夫されている。
対するTecProはF1サーキット用に開発された衝撃吸収バリアで、弾性ポリエチレンで成形されたブロックの中にメタルプレートが埋め込まれている。