ハース:2019年F1マシン「VF-19」技術解説 / エンジンスペック・主要諸元

ハース2019年F1マシン「VF-19」と18年型「VF-18」の前方比較画像

ハースF1チーム(Haas F1 Team)の2019年F1マシン「VF-19」のCGレンダリング画像が、2月7日に発表された。黒を基調にデカール類はゴールドを使用。タイトルスポンサーに迎えたエナジードリンク企業「リッチエナジー」のブランドカラーが全面的に採用され、ハース・オートメーションのコーポレートカラーである赤色は姿を消した。

その外観は、英国のタバコブランド「JPS=John Player Special」カラーを纏ったロータスの歴代F1マシン、あるいはフォーミュラEに参戦するテチータのレースカーような雰囲気を醸し出している。

他チームに先駆けて、英国ロンドンの王立自動車クラブで行われたローンチイベントでお披露目されたのは、今期型のフロントウイングを搭載した2018年仕様のショーカーであったが、公開されたレンダリングの方は2019年レギュレーションに対応したものとなっている。

昨年マシン「VF-18」との比較画像

150mm低くなった2019年スペックのバージボードが印象的。サイドから見るとかなり大きな変更である事が分かる。これによって後方乱気流が抑制され、後方車両に与える悪影響を軽減。接近戦の増加が期待されている。

リアウイングに配置された「PEAK」のロゴの青がよく映えており美しい。PEAKの他には、JACK&JONES、BlueDEF、Richard Mille、Alpinestarsといったスポンサーやチームパートナーのロゴが確認できる。

「VF-19」写真ギャラリー/技術解説

当然の事ながら、ライバルにコピーされる事を防止するために、”キモ”となるアイデアは隠されているだろう。だが、ベン・アガサンジェルー率いる空力部門が手がけたVF-19のレンダリングには、幾つかの興味深い処理が見受けられる。

まず目につくのがミラーマウント。昨年とは異なり、ボディーワークと2箇所で固定するソリューションが用いられている。

前後ホイールリムに興味深いスリットのようなものが見える。メルセデスAMGは昨年、革新的なドラム構造とその効果を最大化するデザインのホイールを採用。冷却効率の向上に成功した。

表面積が増加するため、VF-19のホイールも冷却効率を高めるだろうが、どちらかと言えばホイール内部で発生したダーティーエアをマシン外側へと排出するための工夫にようにみえる。

ノーズ上面の気流をマシンへと引きつけるための「Sダクト」の排出口。アウトレット前方のノーズ上面が上方向に立ち上がっている。昨年の「VF-18」にSダクトは存在していなかった(と思う)。

後続車両の空力バランスを破壊する”アウトウォッシュ”を防ぐために簡素化されたフロントウィング。シンプルだが、繊細で美しい。

影で潰れてしまっているが、フロントブレーキダクトがスッキリしており、2019年スペックである事が確認できる。

ヘイローにはリッチエナジーのロゴがゴールドでプリントされる。昨年末の時点ではヘイロー上部にフェアリングが取り付けられていたが、レンダリングでは確認できない。Tウイングも健在。

リアウイング下部に多数のスリットのような処理が確認できる。フロントとは対照的に、リアのブレーキダクト周りはかなり複雑な様に見受けられる。

ポイントはバージボード周りだろうか。画像補正をかけても形状は確認できず、完全にブラックボックス化されている。

技術諸元・スペック

主要諸元に関しては2018年型の「VF-18」からの大きな変更はない。技術提携するフェラーリからパワーユニットを含めて多数のコンポーネントを流用する。

エンジン

型式 フェラーリ製(型番不明)
排気量 1,600cc
気筒数 V型6気筒
過給機形式 ターボ
最高回転数 15,000rpm(レギュレーション規定)

シャシー

シャシー名の「VF」は、ハース・オートメーションが1998年に制作したCNCマシン「VF-1」に由来。オーナーのジーン・ハースは「Very First One」の意味を込め、同チームの車体名に採用し続けている。

型式 VF-19
構造 カーボンファイバー / ハニカムコンポジット構造
ボディーワーク カーボンファイバー製
ダンパー ZFザックス
ステアリング フェラーリ
トランスミッション フェラーリ製セミオートマチック・シーケンシャル電子制御
クイックシフト 8速+リバース1速
サーボ制御式油圧リミテッド・スリップ・デフ
クラッチ APレーシング
ブレーキ カーボンファイバー製ディスクブレーキ
6ピストン・ブレーキキャリパー、ブレーキパッド
コックピット フェラーリ
シートベルト サベルト
シート カーボンファイバー製
ホイール OZレーシング
タイヤ ピレリ P Zero
燃料タンク ATL
燃料・オイル シェル
全幅 2,000mm
重量 743kg(ドライバー含)

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