予断許さぬF1オーストラリアGP、開幕前日に高まる中止の可能性…コロナ対策迫られるチームと主催者

ルノーのダニエル・リカルド、2020年F1オーストラリアGPにてcopyright RENAULT SPORT

ビクトリア州のダニエル・アンドリュー州首相や現地プロモーターが開催に前向きな姿勢を示しているものの、中止の可能性は払拭されていない。F1オーストラリアGP開幕を目前にして、複数のF1チームのスタッフが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の疑いのために検疫措置を受けた。

こうした状況を受けて大部分のチームは、ドライバーへの感染を防ぐべく公開テレビセッションをキャンセルし、関係者とゲストを除いてホスピタリティへの立入禁止を制限した。紙媒体向けのメディアセッションはホスピタリティの外で行われているが、ドライバーとメディアとの距離は2m以上確保されている。

主催者側より正式に確認されているだけで、既にマクラーレンとハースのスタッフ計3名が隔離状態にある事が分かっており、ドイツメディアの報道ではウィリアムズのクルー1名も同様の状況にあるとされる。更に開幕を翌日に控えた12日(木)午前には、ハースから更に2名のスタッフが隔離された事が明らかとなり、非公式には12日11時現在で計6名の感染が疑われている。

ハースのギュンター・シュタイナー代表は「合計で4名だ。エンジニアが1人とメカニックが3人。我々は彼らをメディカルセンターに連れて行く決断を下した」と状況を明らかにした。

COVID-19の初期症状は風邪の症状との類似点が多いとされるため、単に風邪を引いただけという可能性も十分にある。だが、1名でも陽性が確定すれば状況は一気に悪化しかねない。

ビクトリア州の地元メディアは同州のブレット・サットン主席医療官の話として「検査結果が陽性であった場合、その者と接触した全ての人々を隔離する必要がある」と伝えており、場合によっては感染者を出したチームの多くのスタッフが隔離され、セッション参加が事実上不可能になる恐れがある。

喫緊の課題はテストがポジティブであった場合、どこまでを暴露と捉え、何処に隔離ラインを引くかだ。現地プロモーターは開催を目指して当局・F1・FIAと連携して作業にあたるだろうが、状況は前向きとは言い難い。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は11日、事実上のパンデミック宣言を出し、世界各国に更なる対策の強化を求めたばかり。これを受けてか、NBAは日本時間12日午前10時に声明を発表し、シーズン全体を中止とする苦渋の決断を下した事を明らかにした。

12日午後には少なくとも2名のチームメンバーの検査結果が明らかになる見通し。なお新型コロナウイルスの影響を受けてF1は、ハノイでのベトナムGPの開催中止を内々に決定し、第2戦バーレーンGPを2回開催することでその穴を埋める計画を立てているとも噂されている。

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