好調を受けてのERS変更が仇に…アルボンのクラッシュを技術面から説明するウィリアムズF1のヴァウルズ

アルバート・パーク・サーキットのグリッドに立つウィリアムズ・レーシングのアレックス・アルボン、2023年4月2日F1オーストラリアGPCourtesy Of Williams

F1第3戦オーストラリアGPで発生したアレックス・アルボンのクラッシュについてウィリアムズ・レーシングのジェームズ・ヴァウルズ代表は、ERSのセッティング変更が仇になったとの考えを示した。

FW45とアルバート・パークの相性の良さを背景にアルボンは、今季初の予選Q3進出を経て順調にポイント圏内を走行していたものの、ターン6への進入の際にリアを失い、グラベルを乗り越えてウォールと衝突。リタイヤを余儀なくされた。

Courtesy Of Williams

アルバート・パーク・サーキットのターン6でクラッシュを喫してウィリアムズFW45から降りたアレックス・アルボン、2023年4月2日F1オーストラリアGP

事故直後、アルボンと車両パフォーマンス部門を率いるデイブ・ロブソンは、インシデントが発生した一つ前のターン5で縁石に接触し、タイヤの温度が急上昇した事でグリップを失った事が原因だと説明していた。

恐らくはファクトリーでの分析を通して詳細が判明したのだろう。ヴァウルズはオーストラリアGPの閉幕から5日を経て、事故へと至った経緯と要因について技術面から詳しく説明した。

「アレックスに起きた事はデータをぱっと見しただけでは説明しがたいものだった。ターン5を通過してターン6に向かった際、彼は前のラップより遅い速度で走っていた」

「にも関わらずリアが失われクルマの制御を失った。彼には為す術がなかった」

「実際、この事故は数周前から段階的に積み重ねられていった結果、生じたものだった。どういう事なのか説明してみたい」

Courtesy Of Williams

ガレージ内の様子を見守るウィリアムズF1チーム代表のジェームズ・ヴァウルズ、2023年4月2日F1オーストラリアGPにて

「ターン5は、予選では楽にエンジン全開で走行できるコーナーだが、決勝ではかなり難しい。我々としては、あのコーナーでは終始、リフトする(アクセルを緩める)ものだと予想していた」

「だがクルマは好調で、あのコーナーを全開で走れる事に気づいた。そこで我々はエネルギーのデプロイメントの配分を変更した」

「その結果、レースが終わってしまったラップで彼はターン5を通過する際、前のラップよりも時速10km近くも速く走行する事になった」

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アルバート・パーク・サーキット(F1オーストラリアGP)の2023年版コースレイアウト図

「大した事がないように思われるかもしれないが、タイヤ、パワー、エネルギー、そしてタイヤの温度という観点では大きな違いが生じる」

「スピードが速すぎる事に気づいて少しリフトしなければならなかったものの、彼はあのコーナーで膨らみ飛び出してしまった。その際、左のリヤタイヤは出口側の縁石の上に乗って振動していた」

「一見すると何も問題はないように見えるが、タイヤの温度が限界に達してコーナーの通過速度が上がると更に縁石に乗り上げる事になる。これにより非常に高い周波数が生じる」

「ターン6に差し掛かった時、彼は前もって期待していたようなリアグリップを得ることができなかった。それが彼のレースを終わらせた原因だ」

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