跳馬F1移籍の謎:ルクレールはハミルトン加入を知りながらフェラーリとの契約を延長したのか?
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ルイス・ハミルトンの超大型電撃移籍には幾つもの謎がある。その一つは、ハミルトンの加入を知りながらにシャルル・ルクレールはフェラーリとの契約延長に合意したのか?というものだ。
フェラーリがルクレールとの契約延長を発表したのは1月25日(木)の事だった。6度の世界選手権を獲得したメルセデスでの11年間に渡る華々しい歴史にハミルトンが終止符を打つと発表されたのは、そのちょうど1週間後だ。
スクーデリアは2025年よりルクレールとハミルトンを擁する”スターチーム”として再出発を図る。これによりカルロス・サインツは正式にF1ドライバーズ・マーケットに放り出される事となった。
発表の順番は必ずしも契約締結の時系列に沿っているわけではない。つまり、発表はルクレールが先でハミルトンがこれに続いたが、実際に約束がなされたのはハミルトンが先でルクレールが後という可能性もゼロではないが、そう主張するのは少々突飛であるように思われる。
その前提に立つならば次の疑問が浮かび上がる。契約書にサインした時、ルクレールはハミルトンが加入する事を知っていたのか、それとも知らなかったのか。
おそらくは前者だろう。
イタリア人ジャーナリストのカルロ・ヴァンジーニは、新しい契約にサインする前にハミルトンがチームメイトとなる事をルクレールは知っていたと思うと指摘した。
仮にルクレールが我々と同じように、今回の移籍を衝撃と驚きを以て受け止めているのだとすれば、フェラーリはあってはならない失策を犯したと言える。ルクレールの忠誠心はチームへの不審へと姿を変えるだろう。
無論フェラーリは契約上、隣のガレージに誰が立つのかについてルクレールから許可を取る必要はないだろうが、相談するのが人としての道義であり、長期契約を結ぶ以上は余計にそうだ。
1月末のフェラーリの発表により我々は、ルクレールが今後もチームの中心を担うとのメッセージを受け取ったわけだが、7度のF1王者の加入はそれが単なる思い違いだと突きつけた。
確立されたスーパースターをチームメイトとすることは、次期F1ワールドチャンピオン筆頭候補の一人に数えられるルクレールにとって、自らの存在価値を一層引き上げる好機であると同時に、これまでに培ってきた名声を全て失うキャリア最大のリスクともなり得る。
フェラーリに合流する2025年にハミルトンは40歳を迎える。年齢的に言えばキャリアの黄昏とも言えるだろうが、それでも苦難の道を歩むメルセデスにおいて過去2シーズン、輝きを放ってきた。
ルクレールにとってハミルトンは脅威的なベンチマークとなるだろう。ただその一方で1ラップ最速ドライバーの一人であるルクレールは、ハミルトンにとっても大きな試練となるはずだ。